2019年12月5日 一般質問Q&A 質問者:きみがき圭子

2019年12月5日 一般質問Q&A 質問者:きみがき圭子

 

練馬区議会 議会放映

https://smart.discussvision.net/smart/tenant/nerima/WebView/rd/speech.html?council_id=63&schedule_id=5&playlist_id=3&speaker_id=18&target_year=2019

 

1.区長の基本姿勢について

11月、フランシスコ教皇が来訪した。「軍備拡張競争は、途方もないテロ行為」「核兵器は、安全保障への脅威からわたしたちを守ってくれるものではない」また「原発は利用すべきではない」と訴え、安倍首相に対して核兵器禁止条約への参加を呼びかけた。

これに対し、安倍首相の答えは「核兵器保有国と非保有国との橋渡しを努める」という立場のはっきりしない曖昧なものだった。唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず参加しないのは、核兵器保有を容認していることと同じだ。

 

Q.真の平和とは、非武装の平和以外にありえない。非核都市宣言をして「『核兵器の廃絶と軍縮』を強く訴えている」と光が丘の平和祈念碑にも刻んでいる区として、宣言だけに終わらせず、国に対し条約に参加するよう求め、区長自ら積極的に行動すべきである。区長の考えを伺う。

 

A.「核兵器のない世界」をどういうプロセスで成し遂げるかは、国際情勢についての十分な情報と、高度な政治判断が必要で、区は意見を言う立場にない。核兵器の廃絶を目指して非核都市宣言をした。周知や核実験への抗議声明、平和推進事業を実施している。引き続き平和に向けて努力する。

 

今年5月20日、練馬区内において、拡声器を使用した街頭宣伝で在日朝鮮人に対する「不当な差別的言動」があったとして、東京都に出されていた審査請求の結果、審査会は「これらの表現は本邦外出身者に対する不当な差別的言動に該当する」と認定した。

「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」施行後、最初のヘイトスピーチの認定が練馬区で起きたことは、とても残念でならない。

 

Q.都の公表はホームページに留まっているため、多くの練馬区民は東京都のヘイトスピーチ認定第1号がこの練馬区で起きた事件であることを知らない。この事件について区の見解を「ねりま区報」やホームページで公表し、区民への啓発をすべきではないか。

 

A.国籍、民族等を理由として地域社会から排除することを扇動するヘイトスピーチは、決して許されない差別行為と認識している。区内で発生している差別落書きを含めた行為の解消に向けた対応や周知・啓発は重要と考えている。

 

Q:いわゆるヘイトスピーチを練馬区からなくしていくための施策をどのように充実させていくか、現段階で検討していることや着手していることがあるか。

 

A.憲法記念日に区報でヘイトスピーチ解消法等の周知やホームページに法務省と連携してヘイトスピーチに焦点を当てた啓発記事を掲載するなど取り組んできた。策定中の「第5次男女共同参画計画(素案)」にもヘイトスピーチ解消を「人権尊重と男女平等の推進」の施策の中に位置付けている。今後も差別的言動の根絶に向けた取り組みを進める。

 

2.介護保険制度について

2015年の改定は、要支援1・2の人への給付が地域支援事業に移行し、市町村の事業となった。また、特別養護老人ホームの入所要件が要介護3以上、介護保険料の2割負担の導入など大きな転換だった。

この間、国の介護保険制度全体の見直しの中で「介護予防・日常生活支援総合事業」の検証が、きちんと行われていない。2021年の次期改定に向けて、区が取り組んできた総合事業の検証が必要。

 

Q.第8期練馬区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に向けた調査項目に、総合事業に移行した、要支援1・2の人の暮らしへの影響やこの事業による実績や効果を検証するための項目を設けているか。

 

A.今年度実施する高齢者基礎調査では、要支援者や軽度者も含めた高齢者の健康状態や、介護保険サービスの利用状況・満足度等を把握することとしている。

 

介護保険制度は、複雑で理解するのが難しく、改定のたびに現場は混乱している。重要なのは、自分たちが払ってきた保険料でどのようなケアを受け、どのように生活できるのか、自分が高齢になった時にどのように暮らしたいのか、それに応える事業を組み立てるのが保険者としての区の役割と考える。前回改定時にも説明会が開催されたことは承知しているが、活発な意見交換があったとは言い難い状況だ。

 

Q.第8期の改定に当たって、開催場所や時間設定などを工夫して、区民にわかりやすく説明し、幅広い区民の意見を聞くための説明会を開催すべき、区の考えは。

 

A.第7期計画策定にあたって、区民向け説明会の他に、町会連合会や医師会、介護サービス事業者連絡会、高齢者施設の利用者懇談会など関係団体等への個別説明を計28回実施。パブリックコメントには108件の意見が寄せられた。

第8期計画でも説明会などを開催し、区民や関係者の意見を広く丁寧に聞く。

(第7期区民向け説明会では、一般の区民が具体的に質問できるような情報提供、説明とは言い難かった)

 

3.認知症施策について

今年6月に「認知症施策推進大綱」が閣議決定された。認知症の発症メカニズムは解明されておらず、現在行われている予防対策の科学的根拠は明確ではないのに「予防」を重視すること、予防のための研究開発が掲げられ、産業促進に介護保険の財源を投入することなど、いくつもの疑問が湧いた。

 

Q.介護予防と認知症予防は違う。大綱では、認知症の効果的な予防法が確立していないのに、「予防に関するエビデンスの収集の推進」を掲げ、認知症当事者の嗜好や生活パターン、ケア情報が利用されることが介護保険の目的に合っているのか疑問。また、データ収集、提出などのために、自治体はもとより多忙な医療や介護の専門家に業務として課され、巻き込まれることを懸念する。区の考えは。

 

A.認知症は発症や進行の仕組みの解明が不十分で、確実な予防法は現在ない。国は予防補確立に向けたデータを蓄積するため、主体となって要介護認定情報の活用、科学的に自立支援等の効果が示されたサービスを提供するためのデーターベース構築に取り組む。自治体の認知症予防の好事例や国内外の認知症予防に関する論文等を収集する予定。効果的に認知症施策を進めるうえで必要な取り組み。現時点で医療・介護関係者に新たな業務が課されることはない。

 

区内のあるグループホームでは、近所の掃除をしたり、買い物に行った先でお店の人と談笑したり、日々の食事を作ってそろって食べるなど、利用者は適切な支援で穏やかに暮らしているそうだ。そのように過ごしている方からも「認知症になったらどうしよう」と心配する言葉が出てくることがあるそうだ。それだけ「認知症は何もわからなくなること」、「認知症は恐ろしい病気」などの、認知症に対する偏見が刷り込まれているということではないか。

 

Q.認知症に対する偏見をなくす具体的な取組が必要だが、区の考えは。

 

A.認知症への理解を促進するため、認知症サポーターの養成に取り組んでいる。認知症の方が地域で生活する様子を紹介する講座や、認知症の方本人とご家族が話す講演会を定期的に開催している。区独自の認知症対応研修プログラム「ニンプロ」を実施し、地域の見守り体制強化に取り組んでいる。

 

介護や医療サービスで生活環境が改善され、落ち着いて過ごせる人たちは大勢いる。安心して暮らせる環境こそ、優れた認知症対策ではないか。

 

Q.老化による認知機能の低下は誰にでも起こり得ること。困るのはそれによって生活に障害が生じること。研究開発や産業促進に介護保険を投入するのではなく、その人の当たり前の生活をどう支えるのか、身近な自治体の取り組みが問われる。区の考えは。

 

A.国は認知症発症や信仰の仕組みの解明、診断法、治療法の研究開発に取り組むが、介護保険の費用があてられることはない。区は昨年4月、支援充実のため全ての地域包括支援センターに、認知症の相談・支援のコーディネーター、認知症地域支援推進員を配置した。家族の会と連携し「介護なんでも電話相談」「家族介護者教室」や街角ケアカフェで認知症カフェを開催。来年度からは、成年後見制度を利用しやすくするため、練馬区社会福祉協議会を法人後見人とし、相談・支援や周知・啓発、ネットワークづくりなどの中心的な役割を担う中核機関に位置付ける。

 

4.第5世代移動通信システム「5G」について

今年からは一部で第5世代移動通信システム(5G)のサービスが開始され、来年度からは本格的な実施になっていく。今年4月にすでに総務省は携帯電話事業者に5G周波数の割り当てをしている。

5Gは現在よりも100倍速い超高速、大容量で携帯電話だけでなく、防犯カメラ、自動車、教育、医療現場など広く使用することが可能になる。また、スモールセルというポータブル小型基地局が電柱や地下に250メートル間隔で設置できるとされている。身体に近い至る所で電磁波の影響を受けることになる。イタリア、ベルギー、ポーランドなどの都市では5G導入に反対している。

 

Q.区は今後の5Gの普及について情報や健康への影響など把握・調査しているか。

 

A.パソコンやスマートフォンだけでなく、家電、住宅などあらゆるものがインターネットにつながる時代になっている。IoT技術の普及に伴い、超高速・大容量で、リアルタイムの通信、多数同時接続といった特徴がある5Gを、国は21世紀の基幹インフラとして全国へ展開していくこととしている。5Gで使用する特定基地局等の設置にあたっても、国の指針をもとにした規制値を遵守するよう電波法に規定されている。この指針の基準は、電波の暴露を制限する国際的ガイドラインと同等。規制値は、電波により人体に有害な影響を及ぼす可能性のある全身電波吸収量の約50分の1に設定されている。

 

東京都はTOKYO Data Highway 基本戦略 (Version.1) ~ UPDATE_TOKYO ~を策定し、21世紀の基幹インフラ 東京2020大会のレガシー「電波の道」を拓くことで「都民の生活をより豊かにする」としている。そして基地局の設置に都の保有する建物や公園、道路、地下鉄、バス停、街灯、電柱などを開放することを示している。

 

Q.区内にも都が開放する基地局設置可能な場所が多数あるので、区民の健康を守る立場として影響を明確に示せないなら進めるべきではないことを都に求めるべきだが、区の考えは。

 

A.区は、5Gは本格的なIoT時代に必要なものであり、電波法に基づく規制により安全性が確保されていることから、都に5Gのインフラ整備の中止を求める考えはない。

 

Q.区も利用者となることが想定されることから、曝露についての情報提供・独自の測定・対応の体制を検討するべきと考えるがどうか。

 

A.現時点では5Gを直ちに活用する予定はない。暴露についての情報提供や独自の測定などを行う考えはない。

 

5.環境基本計画について

10月の環境審議会で次期計画の骨子が示された。4つの分野について目標と方針を定めている。

この中で地域環境の分野の「快適な地域環境をつくる」という目標には「良好な交通機関の整備」「良好な生活環境の保全」「気候変動への対応」の3つの方針が掲げられている。その主な取り組みは、都市計画道路の整備・西武新宿線の立体化・大江戸線の延伸であり、「気候変動への対応」はその他になっている。しかし、今わたしたちの命にかかわる重大な問題として取り組むべき喫緊の課題はプラスチックによる海洋汚染とともに「気候変動」への対応ではないか。

 

Q.「快適な地域環境」という地域課題の枠の中で、しかも交通の整備より後回しにすること自体、区の気候変動への危機感がないことをあらわしている。区の考えは。

 

A.自然界への大量流出が世界的な問題となっているプラスチックごみへの対応を強化した。「気候変動への対応」も、初めて地域環境分野の方針の一つとして計画に位置付けた。

 

世界各国のCO2排出量は1位が中国で日本は5位だが、国民一人あたりの排出量となると日本は4位だ。先進国である日本が率先して温暖化防止に取り組んでいかないと地球の環境は守れない。

 

Q.来年度から10年間に取り組む環境基本計画2020において、地球温暖化対策を大きく打ち出すべきではないか。

 

A.素案では、雨水流出抑制対策や暑熱環境対策による気候変動への対応を進めるとともに、温室効果ガス排出量の削減を図ることとしている。国の地球温暖化対策計画に基づき、2030年度までに2013年度比で26%削減を目標として、自立分散型エネルギーの普及拡大と省エネルギーへの取組みを着実に進めることとしている。

 

CO2を最も多く排出しているのが電力である。省エネとともに何によって電気をつくるかがカギとなる。区のエネルギービジョンフェーズ1が今年度で終了する。

 

Q.環境基本計画の改定と整合性を図りながら、エネルギーについてもさらなる低炭素かつ再生可能な取り組みへと見直すべきではないか。

 

A.区は「第二次環境管理実行計画」に基づき、電気使用量の削減に取り組んできた。公共機関の電力調達にあたっては「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」において、経済性に留意しつつ、温室効果ガスの排出の削減に配慮した契約が求められている。区では、温室効果ガス排出係数や再生可能エネルギーの導入状況などを考慮し、かつ安定して電力を供給できる事業者を入札で決定している。環境に配慮した電力の調達を行っていく。

 

6.子ども施策について

来年度から現在の学校生活支援員と学校生活臨時支援員が会計年度任用職員へと移行する。これまでの働き方と変わることで、どのくらいの人数が確保できるのか、支援を受けている児童生徒が必要としている時間や日数が今のまま確保できるのか、保護者から不安の声が届いてる。区に問い合わせても「わかりません」との回答しか得られなかったそうだ。区として保護者の不安を煽るような対応はするべきではない。

 

Q.今後同じような相談があった場合の対応について伺う。

 

A.当該児童生徒の状況や発達段階に応じて、保護者のニーズも把握している学校と協議しながら決定し、必要な支援時間を確保していく考え。実態に応じて支援時間数が変わることもあるため、現段階では、従来と同じ支援時間数を確保するとの説明はできない状況にある。保護者には丁寧な対応を行っていく。

 

会計年度任用職員へと移行することで、これまでの臨時支援員の中には勤務条件が合わず、辞退する方が生まれ、その結果支援の時間が減ってしまったり、人が代わってしまうようでは子どもが安心して学校生活が送れない。

 

Q.「始まってみなければわからない」ではなく、区が状況を把握し、4月に児童生徒が戸惑うことのないよう体制を整える必要があるが、区の考えは。

 

A.制度移行後も、学校や子どもたちの状況を十分把握しながら、子どもたちが安全で安定した学校生活を送れるよう、学校と調整を図り、必要な人材を確保していく。

 

7.若者支援について

先月開催された区政改革推進会議の資料で区立施設の維持・更新では青少年館の今後の取組について示された。青少年館の必要性が低下している。あり方を見直し、それぞれの機能転換を検討するとしている。春日町青少年館は老朽化のための改修・改築とともに、駅にも近く利便性から、他の施設との複合化も含めて検討するとした。

 

Q.青少年館の青少年の利用が低いことについて、現状が本当に行きたいと思う施設になっているのか、活動内容が当事者の声を聞いたものになっているのかなど、これまで理由を調査してきたのか。

 

A.青少年館では、事業参加者・施設利用者のアンケートや昨年度実施した中高生ニーズ調査などにより、利用者・若者のニーズ把握に努め、事業に反映している。

 

春日町青少年館の若者サポートステーションでは、学びなおしや就労支援を中心に、社会に出づらい若者一人ひとりに寄り添った支援をしている。

昨年度内閣府が実施した調査や、今年区内で起きた、長くひきこもり状態にあった息子を親が殺害する事件から、これまでも議会で取り上げられ、区は、「関係機関が連携してケース検討等を行う連絡会を開始し、支援を強化していくこと、ひきこもり相談を実施している関係機関を広く区報やホームページなどで案内するなど、支援につなげる」と答えている。

そして学齢期からの不登校やひきこもりが中高年まで継続する例も少なくない。白梅学園大学子ども学部子ども学科教授で認定NPO法人フリースペースたまりばの理事を務める長谷川俊雄先生は、「20代、30代までにいかに支援につなげるか、つながるかが重要だ」と指摘している。

生きづらさを感じていたり、居場所を求めている若者がホッとできる、就労や復学だけがゴールではなく、「生きているだけでいいんだ。」と当事者が心から感じられる環境の整備が必要である。

 

Q.青少年館の改修にあたり、サポステとも連携して若者のひきこもり支援にも取り組む施設としての充実を求めるがどうか。

 

A.練馬春日町駅周辺には青少年館、南地区区民館、地域集会所があり、大規模改修が必要な時期になっている。春日町青少年館の改修・改築にあたっては、各施設の事業内容や利用状況を踏まえ、新たな区民ニーズへの対応も考慮しながら、統合・再編や機能転換を検討し、改修・改築の方向性を定める。

 

8.まちづくりについて

現在事業用地内にあるシールドマシンが民有地に到達する時期を把握し、いつ、どこから酸欠空気が発生するかわからないことや緊急時の避難行動、さらには、東名JCT付近から北進しているシールドマシンに伴い、昼夜を問わずに地中音や振動が発生している現実などを周辺住民に伝えるべきだ。

 

Q.チラシを配布してもすべての住民の理解が得られるわけではない。課題を共有できる教室型の説明会の開催を事業者に強く要望すべきだが、区の考えは。

 

A.事業者は、シールドマシンの位置を常にホームページで公開。事業用地外を掘進する際には、事前に各戸にチラシ配布し、掘進予定時期や緊急時対応などを沿道住民に知らせる。工事の進捗状況や周辺への影響については、工事説明会やオープンハウスなどでも知らせる。区は地域住民への適時適切な情報提供を行い、安全・安心を優先に工事を進め、早期開通に向けて取り組むよう事業者に求めていく。

 

  • 石神井公園駅南口西地区市街地再開発事業について

今月15,16日に当事業の素案説明会が開催される。区では、2016年度から2018年度にかけて複数回にわたる検討状況報告会の開催をはじめ、補助132号線沿道や無電柱化に伴う商店街通りの街並み整備のために地域での話し合いを重ねてきたと言っている。しかし、今回の再開発事業素案は、2014年に設立された再開発準備組合が当初発表した計画予想図から何ら検討の跡が見られず、住民合意も図れていない。権利者が様々な事情を抱えているからこそ、計画ありきではなく見直しを含めた検討をすべきである。