2023年2月8日 一般質問Q&A 質問者:やない克子

練馬区議会 議会放映 – 発言内容 (discussvision.net)

 

1.区長の基本姿勢について

説明:2022年3月策定「練馬区立美術館再整備基本構想」のコンセプトの中で特に「本物のアートに出会える美術館」という考え方に、多くの区民が違和感を覚えた。サンライフ練馬を廃止し、現段階では区独自財政から81億円もの多額の費用を支出する建て替えについて、異議を持つ区民は少なくない。

質問:先日、委託事業者が決定。審査結果から、基本構想のコンセプト「まちと一体となった美術館」の評価が決め手になったと考える。「まちと一体となった美術館」は、区民置き去りでは実現できない。区民に開かれた事業の推進、特に、異論を持つ区民との合意形成に力を注ぐべきではないか。

 

区の回答:設計事業者に決定した平田晃久さんは、ワークショップで住民の意見を柔軟に取り入れながら、公共建築を作り上げてきた実績がある。今回も「まちづくりと並走するプロセスによって、多様な人とともに建築を育て、その動きをまちづくりとつなげ、建築とまちを一体的に育んでいく」との提案があった。今後設計の中でワークショップを開催し、区民の意見を聞きながら進めていく。

 

2.防災について

説明:1961年制定の災害対策基本法は、東日本大震災を受けて2013年に改正。高齢者や障害者など自ら避難することが困難な避難行動要支援者について、安否確認や避難を支援するための基礎となる名簿の作成が市町村の義務になった。さらに、近年頻発する水災害を踏まえ、2021年の改正では避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を図る観点から、避難支援を行う者や避難先の情報を記載した「個別避難計画」について、市町村による作成が努力義務となった。区長は来年度から避難行動要支援者名簿の登録者全員の現況調査を行い、個別避難計画の作成を進めると示した。

質問:既に、水害時における個別避難計画は約50名を対象者として作成済みと聞いた。今後おおむね3年間で32000人の計画を作成することを目標に掲げ、ケアマネジャーや相談支援専門員などに計画作成を委託する。新たな業務となるため丁寧な合意形成が必要。どのように進めていくのか。

 

区の回答:要支援者からの希望により、心身や生活の状況をよく知る担当の介護支援専門員や相談支援専門員等が計画作成を支援できるよう体制を整備する。介護支援専門員等へは丁寧に説明を行い計画作成に理解を得た上で業務を委託する予定。

 

質問:個別避難計画は、発災時にどこへ、誰と避難するか定めるもの。先行自治体の事例報告では、計画の作成者が決まっても「地域で支援してくれる支援者が見つからないことが多い」、「地域力に期待する取り組みが機能するのか」、「危機意識の喚起の必要性」などが指摘されている。

支援者をどのように定めるのか、また、支援者に対してケガなどの補償も検討が必要ではないか。

 

区の回答:避難支援者が要支援者の避難行動の際に負ったけがについては、災害対策基本法に基づく補償の対象になるものと考えている。

 

質問:既にホームページで「個別避難計画」の作成について掲載し、住民への啓発や協力要請をおこなっている自治体もある。区も取り組むべきではないか。

 

区の回答:要支援者も含めた地域全体の理解促進が大きな課題と考えている。要支援者には小冊子「災害にそなえて」等により啓発を行う。近隣の方や防災会、福祉サービス事業者等には協力を得られるよう、個別説明や区報・ホームページ等による周知を行う。

 

3.介護保険制度について

説明:「介護の社会化」と「利用者の自己決定・自己選択」を旗印に、2000年度に始まった介護保険制度だが、改定のたびに負担増とサービスの低下、制度は複雑になり職員の報酬が下がるなど、利用者にとっても事業者にとっても改悪になっていると感じる。

質問:2024年の次期改定に向け、昨年9月からの社会保障審議会介護保険部会では、「利用料2割負担の利用者の拡大」、「ケアプラン作成の有料化」、「訪問介護、通所介護を利用する要介護1,2認定者の総合事業への移行」が最大の論点となった。ケアプラン作成の有料化と総合事業への移行は、委員はじめ、利用者やその家族、関係団体から大きな反対があったため、今回は見送られ、3年後の見直しで結論を出す見通しが示された。

要介護1,2認定者を「軽度者」とみなすこと自体、問題だが、全国一律の基準がなく自治体の判断で運用する総合事業への移行が現実的なのか、区の見解は。

 

区の回答:社会保障審議会で検討中。国の動向を注視し、介護サービス事業者等の意見を聴くなど実態把握に努め、必要に応じて対応する。

 

説明:私が関わる介護職のほとんどは「大変なことも多いけれど、本来ならやり甲斐のある仕事だ」と言っている。しかし、介護事業所はいずれも人材確保に苦慮しており、経営も苦しいが人材を確保できないことで事業継続を断念する事業者がいるのも事実。介護が必要になってもヘルパーがいないという状況になるのは時間の問題ではないかと危惧する。

在宅介護を崩壊させないためには、介護職の処遇改善は不可欠。月額9000円の賃上げが実現したが、全産業の平均賃金との差が4万円という状況から考えると不十分。しかも、当初は税金の投入だったが、昨年10月以降は介護報酬からの支出になり利用料に影響が出ている。

質問:介護保険は、超高齢社会の中でなくてはならないセーフティネットである。介護保険制度の枠を超えて、税金を投入するなど抜本的な見直しをしなければ、地域包括ケア自体が崩壊してしまうのではないかと懸念する。現場の状況が一番わかっている自治体から国に強く働きかけるべきではないか。

 

区の回答:要介護高齢者が増える一方、生産年齢人口の減少見込まれる中、介護人材を確保するためには、処遇改善を図る必要がある。現在、国が定めている処遇改善加算のうち、特定処遇改善加算は消費税増額分を組み込んでいる。区は国に対して介護職員の処遇に必要な財政措置を講じるよう、全国市長会を通じてすでに要望している。

 

4.エネルギー施策について

説明:地球温暖化による異常気象は世界中で起きている。日本でも40℃を超え熱中症で亡くなる方や、集中豪雨による河川の氾濫や土砂崩れで亡くなる方が増え、影響は身近なこととなっている。

2015年に採択されたパリ協定では2050年までに気温上昇を2℃に抑えることを目標に掲げ、その実現に向けた脱炭素社会への取り組みとして、日本では2030年に2013年度比でCO2排出を26%削減することとした。

しかし、温暖化は止まらず、このままでいくと目標を達成できないため、「2030カーボンハーフ」を世界で共有し、日本でも「2030年に46%削減」を目標に立て直した。東京都でも「ゼロエミッション東京戦略」を策定し、再生可能エネルギーを主力電源化、水素エネルギーの拡大をすすめる計画を示している。

質問:区は昨年2月、2050年の二酸化炭素実質排出ゼロをめざすことを表明。脱炭素社会の実現に向け策定中の環境基本計画、エネルギービジョン、環境管理実行計画を統合した総合的な計画の進捗状況は。

 

区の回答:本年1月、環境審議会から「家庭部門の二酸化炭素削減」、「環境に配慮したライフスタイルの推進」、「区の率先行動」を方針として計画策定を進めるよう答申を受け取った。エネルギー分野有識者会議からの意見も参考に、素案の取りまとめを進めている。

 

質問:2022年12月、政府は電力不足と電気代高騰を理由に原子力発電の建て替えや運転期限延長など、原発推進に関する4件の計画案を示した。ゼロカーボンエネルギーとして原発をベースロード電源としているが、原発は建設・燃料輸入・生産・使用済み燃料の処理・廃炉を考えると、決してCO2削減にならない。何よりひとたび事故が起きれば何十年と人々の暮らしと環境への影響が続く。

また、水素も現段階では化石燃料を使用している。CO2フリーの水素をめざしているが現実的ではない。再生可能エネルギー100%をめざし、住宅都市練馬として太陽光パネルと蓄電池の設置をさらに進めるべきでは。

 

区の回答:太陽光パネルと蓄電池の設置は、建物等の脱炭素化と災害時の強靭性を高めることから、住宅への設置補助と区立施設への設置に引き続き取り組む。

 

5.プラスチック削減について

質問:私たちは、環境汚染の大きな原因のひとつであるプラスチックごみの削減を求めてきた。区が、2019年にプラスチック削減に関する基本的な事項を定め、プラスチックごみの発生を抑制することを目的とした「練馬区役所プラスチック削減指針」を策定したのは、大きな前進だ。

公共施設に設置する自動販売機の事業者募集要項には、「販売品目の容器はプラスチックごみの削減を推進するために、飲料水を除き原則として、缶・びんとする」とある。現在、公共施設に約200台の自動販売機が設置されているが、この条件の自動販売機が設置されている施設数と台数は。

 

区の回答:指針に基づく「自動販売機の商品を飲料水を除き原則として、缶・びんとする」方針を受け、缶製品の自動販売機が設置されたが、区役所20階の設置にとどまっている。

 

質問:区役所内の約30台の自動販売機のうち、ペットボトル飲料を廃止したのは1台のみ。しかも、20階にひっそりと置かれている印象だ。多くの区民が出入りする区民事務所にこそペットボトルのない自動販売機を設置し、プラごみ削減をアピールすべきではないか。

 

区の回答:利用者の希望する製品を提供できないため全てを缶とすることは難しい。

 

説明:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が昨年4月に施行され、スプーンやフォークなどのカトラリー類の有料化や、木や竹製品に変えるなどの変化もある。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大の中で「外食の代わりにテイクアウト」や総菜などをあらかじめパック詰めしてしまうなど、使い捨てプラスチック容器が大量に使用され、プラごみが大幅に増加した。プラスチックの環境汚染の問題意識が薄れてしまっているのではないかと懸念していたところ、プラスチック汚染の削減に関する国際的な意識調査で、日本の使い捨てプラスチック禁止の意識が調査対象の34か国の中で最低だったと報道された。

質問:第3回定例会の一般質問「プラスチック資源循環促進法に基づいて、容器包装プラスチックだけでなく製品プラスチックを一括回収する取り組みについて」に対し、区は、リサイクルルートの基盤整備や財政支援など国の役割を果たすことを特別区長会を通じて要望していると答弁した。この間、状況は進展しているのか。

 

区の回答:区では、特別区長会を通じて国に対し、リサイクルルートの基盤整備や財政支援など国の役割を果たすことを要望している。

 

質問:製品プラスチックの資源化には事業者責任がなく、自治体の役割が増大するなどの問題も大きいが、まずはプラスチックの焼却を止め、温暖化ガスを削減することをめざし、ごみ行政をつかさどる区としてもプラごみ一括回収と資源化を積極的にすすめるべきではないか。

 

区の回答:回収した大量のプラスチックを再商品化施設へ持ち込むための圧縮・梱包を行う中間処理施設の確保が必要。また、大量のプラスチックを再商品化するための事業者処理能力の向上と市場ニーズに応じた多様な商品を生み出すための技術開発が求められている。

 

質問:国は、自治体のごみ行政を支援する循環交付金の拠出の要件に製品プラスチックへの取り組みを加えた。特に23区では、2031年までに実施しなければ、2026年までさかのぼって交付金を返還させるとしており、取組は不可避であるというところまできている。「やらねばならぬ」を「やることに意義がある」に変え、23区の協力体制を練馬区がリードしてつくろうという気概を示していただきたいが、いかがか。

 

区の回答:なし

 

質問:プラごみを一括回収しても、さまざまな素材が混じっていては、品質が低下するカスケードリサイクルで、循環も道半ばと言わざるを得ない。効率的なプラスチック資源化のため、手選別から光学式選別機に切り替えて、素材ごとのリサイクルの高度化を進めるべきではないか。

 

区の回答:赤外線を活用した自動選別機が一部の施設に導入され始めたが、再資源化するための技術は開発途上にある。

 

意見:リサイクルでは23区中、最先端で進めてきた練馬区。全国の67自治体が行っている「プラスチックゼロ宣言」をし、プラスチックの一括回収とプラスチック資源循環促進法33条に則り、区民にも分かり易い区主導のリサイクルの実施を求める。めざすところは、製品から製品への水平リサイクルだが、まず、できるところから一歩でも前進させるべき。

 

6.現在、区内4駅5か所に設置されている公設喫煙所について

説明:他人のたばこの煙やにおいは、タバコを吸わない人にとっては迷惑以外の何物でもない。私たちには「屋外での喫煙は禁止にすべき。受動喫煙防止の観点からも何とかならないのか」「屋外の喫煙所をなくしてほしい」という相談や苦情が多数寄せられている。区に対してもそれ以上の声が寄せられているのではないか。

大泉学園駅北口の喫煙所は線路を隔ててホームの目の前にあり、北風の時期は電車を待っている人々は否応なく煙やにおいに晒される状況で、特に撤去を求める声が多いと感じる。

質問:2007年に区は「練馬区歩行喫煙等の防止に関する条例」を制定し、それ以降2012年までの間に9か所の公設喫煙所を開設したが、現在利用できるのは、5か所。公設喫煙所の設置は歩行喫煙やたばこのポイ捨てをなくすための対策としているが、廃止された4か所の歩行喫煙やポイ捨ての状況に変化は生じているのか。

区が実施しているポイ捨て実態調査の2008(H20)年からの実績を見ると、公設喫煙所の有無にかかわらず、吸い殻は減少傾向にある。公設喫煙所の有無とポイ捨ての吸い殻の量との関係、つまり、喫煙所がなければポイ捨ては増えるのか、また、歩行喫煙する人は増えるのか、区としてどのように認識しているのか。

 

区の回答:2018年度に屋外喫煙所に関する受動喫煙への留意事項を厚生労働省が示し、条件の整わない公設喫煙所を閉鎖して、現在5カ所。歩行喫煙の実態について主要4駅で調査を継続。区内の歩行喫煙率は減少している。歩行喫煙とポイ捨て防止のための普及啓発の成果。コロナ禍で公設喫煙所を一時閉鎖した際、周辺のポイ捨てされた吸い殻の量は、通常時の約2倍となった。歩行喫煙のや吸い殻の散乱を抑止する一定の効果があると考えている。

 

質問:区は、健康増進法の改正や東京都受動喫煙防止条例の制定を受け、屋外喫煙所における望まない受動喫煙防止対策について検討を進めているとのこと。検討状況を聞く。

 

区の回答:煙の流れを改善するなど、ハード面でさらに工夫できることがないか専門家の意見を伺っているところ。引き続き、喫煙者、非喫煙者が双方の立場を尊重し共存できる社会の構築に努める。

 

7.香りの害「香害」および化学物質過敏症の対応について

説明:「香害」とは、洗濯に使用する合成洗剤や柔軟剤、消臭・除菌スプレー、芳香剤など、主に香りつき製品の人工的なニオイによってもたらされる健康被害のことで、体臭など自然の臭いは含まない。

私たちはこれまで、度々「香りの害」について取り上げ、対策を求めてきた。区が、2019年に「その香り苦手な人がいます」というリーフレットを作成し、ホームページなどで柔軟剤の香りに関する相談件数が全国的に増加傾向にあることや化学物質過敏症について表記したことは大きな前進だ。

区作成の啓発リーフレットは保健相談所や消費生活センターに掲示された。また、区立小中学校や幼稚園に情報提供したことが、学校便りや保健便りなどで児童生徒および保護者への周知啓発につながったと認識している。

区のリーフレット作成から2年後の2021年、ようやく国は、消費者庁・文部科学省・厚生労働省・経済産業省・環境省、以上5省庁連名の啓発ポスターを作成しました。練馬区役所2階の入り口付近に掲示していることは承知している。

しかし、残念ながら香りの害に悩んでいる人は増えており、区内においても、周囲の人の洋服や持ち物のにおいで息苦しくなって、教室にいられない児童生徒がいる。化学物質が成長過程にある子どもに与える影響は大きく、子どもへの健康被害を未然に防止する対策が必要。

質問:学校での対策について伺う。区独自の啓発リーフレットは少なくとも1年に1回は校長会などで情報提供し、活用を喚起すべきだが、運用状況は。

 

区の回答:2019年度、化学物質過敏症に関するリーフレットを全区立小中学校に送付するとともに、周知啓発および症状を訴える児童生徒への配慮を求める通知を発出した。昨年度「香りについて」のアンケートを実施した学校では、症状を訴える児童の保護者からの要望もあり、今年度全学年の保護者に対してリーフレットの配布やメールでの啓発を二度にわたって行った。

 

質問:区内のある学校が独自で「香りについて」アンケートを実施したところ、全児童の 16%が、人の衣服に付いた洗剤や柔軟剤の香りに不快感を示し、「気持ちが悪くなる」「頭が痛くなる」「涙が出る」など、様々な体調不良を感じていること、一人の児童が複数の症状を抱えている実態が明らかになった。そこで、保護者に対して、洋服・体育着・給食の白衣などの洗濯洗剤や柔軟剤は、極力 香りを押さえたもの、または柔軟剤を使用しないなどの配慮と理解を求めたが、残念ながら大きな改善は見られなかったそうだ。やはり、継続した周知啓発が必要。教育委員会として、定期的に実態調査をすべきではないか。

 

区の回答:一律に実態調査等を行う考えはないが、個別の相談に対しては、丁寧かつ適切に対応していく。

 

意見:アンケートという形で設問を読み、回答を考えるというプロセス自体が啓発であること、オンラインでの実施が筆跡などに躊躇することがないのか、自由記述も多く大変協力的だった、など全国の自治体議員がつながる「香害をなくす議員の会」の意見交換で共有されている。調査方法も含めた検討を要望する。

 

質問:大田区教育委員会では、小中学生の保護者が記入する「就学前 調査票」と「保健調査票」の案内用紙に「化学物質過敏症」の説明と記入例が示されており、化学物質で症状が現れる子どもについて学校側が把握できるよう情報共有と配慮に努めている。練馬区でもぜひ、取り組むことを求めるが、考えは。

 

区の回答: なし

 

説明:欧米諸国では、日本より一足早くこの問題への対策が進んでいるそうだ。米国疾病対策センター(CDC)は2009年、香料などの化学物質が敏感な職員だけでなく、多くの職員の健康に悪影響を与え、ぜん息やアレルギー、 慢性頭痛などの原因となると考え、香りつき洗剤や柔軟剤などで洗濯した衣類を身に着けて職場に来ることを自粛するよう要請した。また、カナダの労働安全衛生センターでは、職場環境の側面から従業員の健康を守るために、職場の無香料化に向けての方策を提示している。

質問:人が多く集まる公共の場に香害を啓発するポスターを掲示し、さらに香料製品の使用を自粛する無香料化、フレグランス・フリーにするよう求める。まずは公共施設の無香料化を要望するが、いかがか。

 

区の回答:国が作成したポスターは、保健相談所、消費生活センター、小中学校、児童館、保育園、子ども家庭支援センターなどに掲示し、公共施設などの利用者に周知している。柔軟剤等の製品に含まれる化学物質に起因する問題については、製造・販売事業者が責任をもって対応することが基本。区では周知に努めるとともに、業界団体の取組みや国の対応などを注視し、必要に応じて区民への情報提供を行う。

 

8.こども施策、不登校について伺います。

説明:区は毎年、小中学校における暴力行為・いじめ・不登校の実態調査をおこなっているが、いずれも発生数が年々増加。2021年の調査結果では不登校については、小学校 439 人、中学校では707 人となり、2018年度以降、増加傾向はさらに強くなっている結果が出ている。小学生 76 人に1人、中学生 19 人に1人の割合で不登校になっている、と報告されている。

このことから区は昨年、今後の安心な学校づくりに向けた基礎資料として不登校に関する実態調査をおこなった。

学校を休み始めたきっかけとして9割近くが「学校のこと」と回答していて、中でも学校の雰囲気、いじめ、先生のことが主な理由となっている。

毎年おこなわれている調査でも同様の結果が出ているが、区は2017年に不登校の未然防止を目的とした「不登校対策方針」を策定し、「一人一人の状態に寄り添う」「一人一人の自立を助ける」「一人一人を人や社会につなげる」という理念を掲げている。2019年にはスクールソーシャルワーカーによる支援の充実などを改定、さらに今回の調査結果をもとに来年度改定するとのこと。

質問:区は、不登校の未然防止のための調査や方針策定などに取り組んできたが、これまでの課題をどう捉え、今後の改定にどう生かしていくのか。

 

区の回答: 2021年度から2022年度まで実施した区独自の実態調査から、不登校のきっかけについて当事者と学校との間に認識の差異があること、不登校だった生徒の約7割は学習の遅れや進路に不安があり支援を求めていたこと、フリースクールなどの民間事業者は区や学校との情報共有による連携などを求めていることが明らかになった。

 

質問:現行の不登校対策方針の課題を「新たな不登校を発生させないための指導」とし、全小中学校で2018年度に作成した「人間関係形成力授業プログラム」を活用し、「適切な指導のもとに人間関係形成力を身に付けさせ、不登校の未然防止に資する」としている。

このプログラムを活用することで「主体的・対話的で深い学びを通して人間関係を形成することができ、その結果学級が居心地の良い環境になり、多くの児童生徒が自尊感情や自己肯定感をもてる」、としているが、「身に付けさせる」という表現自体が子どもへの押し付けの姿勢ではないか。子どもにとって本当に居心地の良い環境になるのか疑問。区の考えとプログラムの実践効果について伺う。

 

区の回答: 不登校の要因の一つに、人間関係に起因する課題がある。人間関係形成力授業プログラムでは、子どもたちがより良い人間関係を構築するための学級活動の授業例など各校の活動に有効な取り組みを紹介している。学級・学校が好きになり、不登校を未然に防ぐことをねらいとし、実践した教員からは、授業後に子ども同士の会話が増えるなどの効果があったと報告を受けている。

 

質問:日本は国連子どもの権利条約から「あまりにも競争的な制度を含むストレスフルな学校環境から子どもを解放すること」という勧告を受けている。

子どもの権利を尊重し、授業としてだけでなく、いつでもどこでも子どもの意見を受け止め対話ができる学校、楽しいと思える学校の環境づくりが必要。そのために教員が時間の余裕を持てるように増員を急ぐべき。考えを聞く

 

区の回答: 教員の定数は義務教育標準法に基づき国が定めるものですが、区では教員が子どもと向き合う時間を確保するためサポート人材の配置拡大やICTを活用した公務改善等を図っている。

 

質問:不登校になった児童生徒の保護者が、学校の情報から取り残される不安の声も届いている。学校からはお知らせが届くが、保護者同士が話せる場や情報を共有する場がないので孤立してしまった感じがする、とのことだ。

世田谷区では不登校対策として、56ページにわたる「保護者のためのハンドブック」を作成したり、不登校保護者のつどいを毎月実施するなど支援している。区もきめ細かな保護者支援をすすめるべきではないか。

 

区の回答: 不登校児童生徒の保護者に対して、学校では、定期的な電話連絡や家庭訪問などに加え、スクールカウンセラーによる心理面へのサポートを行っている。また、学校教育支援センターでは、保護者向け講演会を年16回実施し、参加者同士が話し合う場を提供している。適応指導教室でも保護者交流会や心理職の職員等との面談など、様々な支援を行っている。

 

質問:フリースクールや居場所は不安を抱える子どもをまるごと受け止める安心できる居場所であり、大切な存在。また区が「不登校児童生徒が学校に復帰することのみを目標としない」としたことも重要なこと。しかし、本来であれば学校は全ての子どもの学ぶ権利を保障する場であり、子どもがそれを実感する場でもある。多様性を認め合うインクルーシブな学校であるべき。

不登校児童生徒が増え続ける現状から、学校のあり方そのものを見直す時が来ているのではないか。

 

区の回答: 不登校対策方針の改定に着手するとともに、(仮称)子ども相談アプリの導入やスクールソーシャルワーカーの増員により、相談体制を強化していく。

 

9.まちづくりについて

説明:2020年10月の外環トンネル工事による陥没事故は、調布市の約700m x 200m、約千戸の住宅街に地盤のゆるみや振動による住宅損傷、振動・低周波音による健康被害を与えた大惨事、「公害」だ。現地では、地盤補修のために40戸以上の家屋を解体し地盤補修する計画で、仮移転も含め転居することを強いられている。住み慣れた住まいを離れる覚悟を決めた住民のおひとりは、「土地や家はお金に換えられるかもしれないが、過ごしてきた時間はお金には換えられない。この間、外環のことを考えない日はなかった」と涙ながらに訴えている。

質問;2月3日、大泉ジャンクション部の北行きトンネルを掘進するシールドマシンが、事業用地の外側への掘進を始めた。事業者は振動や騒音のモニタリングを強化し慎重に進めると言っているが、住民への周知はどのように行っているのか。昨年2月、沿線住民に対して「建て替え・新築・リフォーム等をされた皆様へ」と表記したうえで、すでに家屋調査を受けていても希望があれば再度調査を受け付ける旨、通知した。調査の実施状況など、区として把握しているか。

 

区の回答:従前に調査した建物も含め、希望する方の家屋調査を実施している。これまでに、数十件調査を実施したと聞いている。

 

質問:当初の家屋調査から時間が経過している。今後、家屋に損傷が発見された場合、経年劣化と判断されてシールド工事との因果関係の立証が難しいケースが出てこないか懸念する。建て替えや新築などでなくても、再調査を勧奨すべきではないか。

 

区の回答:引き続き、慎重かつ安全に工事を進め、必要な調査や細やかな情報提供を行うなど、区民への丁寧な対応を事業者に求める。

 

質問:石神井公園駅南口西地区再開発事業について、権利者との合意形成ができていないのに早くも石神井庁舎の機能移転のための手続きがすすめられようとしている。区は、丁寧に住民対応をすると言っていたが、再開発事業は組合が施行するので、権利者の2/3の合意があるから進めるという姿勢に転換したのか。

 

区の回答:2020年12月に都市計画決定し、大多数の地権者の同意のもと、2022年10月に再開発組合が設立され、既に事業に着手している。現在組合は、権利変換計画の作成を進めている。石神井庁舎の一部移転に必要な保留床を区が取得することについて当該計画に位置付けるに際し、今月区と組合で公益施設の整備に関する覚書を交換する予定。まだ、同意頂けていない地権者には、引き続き事業の進捗に合わせ、組合とともに丁寧に説明し、ご理解頂けるよう努力する。

 

意見:権利者の合意形成が不十分なまま強引に進めるべきではない。

 

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が約1年続き、食料品や日用品、光熱費など物価高騰が家計を圧迫する日々が今も続いている。さらに、原子力発電所が攻撃の対象にされるかもしれないという恐怖など、他国での戦争が私たちの暮らしに直結することを多くの方が実感したのではないか。

戦争は最大の環境破壊であり、人権侵害である。防衛費増額を打ち出し、専守防衛の域を超えようとしている政権に対して、今こそ、軍縮にむけて努力することを謳った非核都市練馬区宣言に基づき、地域から反戦・平和を訴えるべき。