練馬区議会 議会放映
http://smart.discussvision.net/smart/tenant/nerima/WebView/rd/speech.html?council_id=60&schedule_id=4&playlist_id=1&speaker_id=46&target_year=2019
1 区長の基本姿勢について
Q.第2次みどりの風吹くまちビジョン(素案)が「グランドデザイン構想に示す将来像の実現に向けた、区の新たな総合計画」とするのであれば、区長自らが説明し区民の質問に答えたり意見に耳を傾け、さらには、区と区民、区民同士の討議を経てビジョン素案を策定するべきであったと考えるが、区長の見解は。
A.大規模な集会は、発言時間が限られ、区民以外の方も含めて組織的に動員される場合もあるなど、議論を深めるのが難しい。意見を伺う手法は説明会に限られるものではない。今後も様々な手法で丁寧に伺う。
●区長は、タウンミーティングなどオープンな場で、特に異論を持つ区民の声にこそ耳を傾け、合意形成を図ることに手間を惜しむべきではない。
Q.区立公園の使用料について2017年度まで減免の扱いをしてきたが、今年度から徴収することに変更された。区長は何を判断基準に「その他区長が特に必要があると認めたとき減免の適用の可否を判断しているのか。
A.「都市公園条例に基づく使用料の減免に関する要綱」を定め、「区の区域内の団体が行政への協力等の目的のために利用するとき」「区内の保育所等、幼稚園、小学校、中学校または特別支援学校が教育目的のために利用するとき」などの際に減免している。
●市民の自主的な活動に水を差す大きな問題だと考える。営利目的ではない区民の自主的な活動に対してはすべて免除すべき。
2 区立施設での石けん使用について
Q.区立の施設小中学校などの実態を調査。製品が特定できた288点を分析した結果、環境や人体に安全だと思われるものは約20%しかなく、約70%は、PRTR制度(事業者が扱う有害な化学物質について、国が管理・公表する制度)で指定されている有害化学物質を含む製品であり、10%は薬事法で「アレルギー等の皮膚障害を起こす恐れのある物質」として表示されるよう指定された成分や合成香料、蛍光増白剤を含む製品だった。
このような化学物質によって、アトピー性皮膚炎などさまざまな皮膚障害のひきがねになったり、排水による環境への影響があることを認識すべきだが、区の考えは。
A.洗剤にはさまざまな化学物質が使用されている。皮膚障害の原因や悪化の要因は、特定の物質に限定することは困難。PRTR制度は承知しており、用法に従って適正に使用し、環境や健康への影響を低減することが必要。
●人体への安全性や生分解性など、健康や環境に配慮する視点から、合成界面活性剤をはじめ殺菌剤などの添加物が使われていない石けんの使用を求める。
Q.子どもやアレルギー体質の区民が直接使用する区立施設の洗浄剤については、人体への安全性や環境への配慮の視点で、石けん使用をすすめるべきだが、区の考えは。
A.購入にあたっては練馬区環境マネジメントシステムにより、環境への負荷を可能な限り低減したものを優先的に購入することになっている。
●調査では「子どもたちが触れるものは安全性を考えて石けんを使用している」と回答した保育園もあったが、「安全性を意識して選んだ」と答えた施設でも、合成香料や着色料を添加した製品を使用しているケースもあり、純石けんとの違いについて理解されていないことがわかった。
3 香りの害への対策について
Q. 学校では、給食用の白衣、テーブルクロスなどを児童生徒が持ち帰り家庭で洗濯している。その際、各家庭では様々な洗剤や柔軟剤を使っているため「洗濯やアイロンがけをすると咳やくしゃみが止まらない、頭痛や吐き気を生じるなど身体に影響が出て苦しんでいる」との相談を受けている。このような実態を教育委員会は把握しているか。
A.学校からの報告は受けていないが、各校で児童生徒本人や保護者からの相談があった場合には、個別に配慮するなど適切に対応が図られていると考えている。
●保護者からの訴えに応じて「給食だより」や「保健だより」などで知らせた学校もあるが、香りのことで何度相談しても対応策を考えてもらえず、自分専用の白衣の使用を認めている学校があることを伝えてやっと許可された例もある。学校対応の違いにより、子どもに不利益が生じている。
Q.学校での友達や教職員の衣服や持ち物からの香りが原因で、教室にいることが息苦しいと感じる児童の相談もある。学校の環境を「香りの害」の視点から考え、どのような対応が望ましいのか検討し学校間で共有すべきだが、教育委員会の考えは。
A.従来から施設の建材や塗装の素材を原因とする化学物質過敏症について、訴えや特性に応じてきめ細やかな配慮を行ってきた。現在のところ、香りの害に特化した対応や学校間での情報共有は考えていない。
●「香の害」について子どもたちへの啓発、一緒に学ぶためにどうすれば良いかを考える、学校と家庭の取組みが必要。
Q.公共施設のポスター掲示などで「香りの害」の啓発をおこなっている自治体が増えている。練馬区としても、環境、健康、教育の部門が連携して「区民の健康をまもる」視点で対策に取組むべき。区の考えは。
A.製品に含まれる化学物質に起因する問題については、製造・販売事業者が責任をもって消費者に対応することが基本だが、区としても相談内容に応じて各部署が連携して対応する。
●香りの害に苦しむ当事者のためだけでなく、合成香料などの化学物質が原因の健康被害を予防するためにも、周知・啓発は待ったなしだ。
4 ケアラー支援について
ケアラーとは、こころとからだに不調のある人の「介護」「看病」「療育」「世話」「気づかい」など、ケアの必要な家族や近親者、友人、知人などを無償でケアする人のこと。ケアの必要な高齢者や障がい者は増加し、家族の形態は核家族化など変わっているため、誰でもケアラーになる可能性がある。
Q.社会から孤立しがちなケアラーが社会参加できるような支援、人生の質の充実や心身の健康維持など、その人らしい生活を保障する取組みが必要。区独自のケアラー支援施策をつくるべきだが、区の考えは。
A.ショートステイや地域密着型サービスなど、家族の休息につながるサービスの充実に取組んでいる。家族会などの活動と連携して、家族介護者教室、街かどケアカフェ、介護家族による介護なんでも相談、重症心身障害児者のレスパイト事業など独自支援を実施。
●高齢者や障がい者と同じように、ケアラーを当事者とする個別相談支援、関係機関と多職種のネットワーク、居場所を確保する地域づくりなどの施策が必要。
Q.遅刻や欠席、忘れ物が多い原因が介護のためと気づいて貰えず「困った子ども」と受け取られることに傷ついている子どもがいるかもしれないという視点が教員をはじめとする学校関係者に求められる。日々接する教員への意識啓発が必要だが、教育委員会の見解は。
A.小中学校では、介護を含む家庭の状況を的確に把握し、児童生徒一人ひとりに寄り添い配慮してきた。今後も必要な配慮をするよう学校に促す。
●小学校で22.9%、中学校で40.7%の教員が「家族のケアをしている児童生徒がいる」と答えている小平市での調査結果がある。子どもが家族のケアをしていても、言い出せない場合があることにも配慮すべき。
Q.小平市だけではなく、藤沢市・南魚沼市の教員調査からも、児童生徒のケアラーの存在が明らかになっている。練馬区でも実態把握をすべき。教育委員会の考えは。
A.区が2017年3月実施した介護実態調査によれば、主な介護者は20代で0.2%、20歳未満はないとの結果が出ている。現段階では実態把握の必要はないものと認識。
●障がいや乳幼児など、支援が必要な兄弟姉妹のサポートなどを担うのもケアラーである。区の「介護実態調査」だけでは実態を把握できていると言えない。
Q. 複合的な問題を抱えるダブルケアラーの課題解決には、ダブルケアの困難さを理解し、ケアラーの生活をサポートする専門の相談員が必要だが、区の見解は。
A.今年度から子育てと介護などの各機関が連携してケース検討等を行う連絡会を開始し、支援を強化。専門の相談員を配置する考えはない。
●複数の介護を担うダブルケアラーは、精神的・体力的・時間的・経済的など複合的な課題を抱えていて、ケアラーの中でも最も負担が重い当事者。縦割りの行政のしくみの中では対応しきれていない。
5 「(仮称)みどりの総合計画」について
Q.みどり30推進計画は2017年以降廃止状態で、今回提案されている「(仮称)みどりの総合計画」は条例の趣旨とかけ離れたものになっている。議会の決定を経て制定した条例をどうするかの議論が先に行なわれるべきではないか。計画にあわせて条例を変えるのか。
A.みどりの基本計画、みどり30推進計画を統合し、みどり施策に関する総合計画および事業計画という両方の性質を持たせる計画にした。条例改正の必要はない。
●2006年練馬区は環境都市宣言により、みどりや水と共生する美しいまちを次世代に引き継ぐ責務を明らかにし、翌年、『練馬区みどりを愛し守りはぐくむ条例』を制定した。この条例に基づいて「みどりの基本計画」が策定され、「みどり30推進計画」が基本計画を推進するための実行計画として位置づけられた。
Q.2037年を見据えて緑被率30%をめざすという現基本計画の目標に対して「実現するには土地の取得費用として約1兆4000億円必要」と膨大な金額をあげて実現不可能であると示唆しているが、その金額の積算根拠は何か。
A.2016年度の実態調査では、緑比率24.1%だった。このうち民有地のみどりは前回より約86ha減少している。調査時点の民有地のみどりがまったく減らないことを前提として、緑比率30%を実現するには5.9%、面積にして約284haの緑被地が不足している。これを公園整備で創出した場合、約380haの土地が必要となり、区の平均公示価格から取得費用は約1兆4千億円となる。
●「お金がなければみどりもないのです」というメッセージには「区民と共にみどりを守り育もうという姿勢が感じられない。
Q.計画の目標を「練馬のみどりに満足している区民割合」を80%まで増やすことに変更しているが、意識意向調査の満足度は個人の感じ方に依拠し客観的ではない。調査対象や、設問のしかたによっては結果の正確さを欠く。緑被率と満足度の関係をどう考えて、変更したのか。
A.区民の満足度は、区民の意識や意向を統計的に捉える区民意識意向調査によって、同じ設問で経年変化を把握する。過去10年間で緑被率は約2%、民有地のみどりは約137ha減少したが、豊かさを感じている、満足と答えた人が増えている。区民がみどりの量だけで判断していないことの表れと考える。
●めざすべき目標は実態を表し、明確な数値であるべき。
Q.今回基本方針としてみどりのムーブメントの輪を広げるとのことだが、「みどりの機構」が行っていたみどりを愛し広げる活動との違いは何か。ムーブメントにおける区民との協働を誰がどのように広げるのか。
A.みどりのまちづくりセンターやNPOなどとの連携を強化し、より多くの区民がみどりに関わる区民協働によるムーブメントを広げる。
●みどり施策は区民生活の基盤にかかわる環境問題。いのちを育くむ豊かな環境をめざす計画になるよう修正を求める。
6 児童相談所行政と「練馬モデル」について
Q.都との連携強化のための児童相談センターへの職員派遣拡大、管理職の派遣、子ども家庭支援センターの専門職員増員、弁護士やスーパーバイザー配置、ショートステイ受入れ年齢拡大が盛り込まれている。「この人員配置はしっかりと相談の入口出口体制をつくるため」とのことだが、この体制によって解決できる課題は何か。
A.住民に身近な児童相談行政は、子ども家庭支援センターが中心となって対応している。相談体制と支援体制を強化する。
●児童相談所を区に作らない児童相談体制「練馬モデル」は、子ども家庭支援センターの負担が増大する。
Q.虐待の緊急対応だけでなく、居場所がない、何らかの問題を抱えている中高生たちが夜間に相談したくてもSOSを受け止める十分な体制がない。24時間365日の相談体制についての考えは。
A.中高生については、要保護児童対策地域協議会を設置し、児童相談所や警察など関係機関と協力して見守りを行っている。引き続き、児童相談所や警察との役割分担の下、対応していく。
●児童相談センター相談窓口は、平日のみで17時まで、夜間・土日休日は相談中の子どもあるいは関係機関の緊急時のみ。子ども家庭支援センターは平日19時まで。それ以外の相談窓口は国の189(いちはやく)のみである。しかし、厚労省の統計では2017年度の189にかかってきた数は約257,000件、そのうちつながったのは52,540件で、接続率はわずか20%だ。しかもかかってきた数には話し中、つながる前に切った数は含まれていない。すべてのSOSを受け止める対策が必要。
Q.一時保護所も「保育の質」と同様に考え、子どもの最善の利益を考慮し、保護所が適切だと判断した区内の子ども、遠隔地の保護所を必要としている他区の子どもを受け入れる体制をつくるべきではないか。
A.一時保護所は、児童相談所業務と一体であり、広域行政そのものの性格を持つ。引き続き、都児童相談所と連携し、適切に対応していく。
●子ども家庭支援センターがいずれは児童相談所としての機能をもつことを視野に入れた「練馬モデル」であるなら、子どもの権利に基づいたより良い体制になるよう、区民とともに作ることを求める。
7 外環道について
Q.緊急時に備えて、配慮が必要な高齢者、障がい者、乳幼児や妊産婦などの情報を把握し、対応することが必要であり、自治体の責任だと考える。区の危機管理能力が問われる。どのように計画し、どのように対応するのか。
A.緊急時に、一時的な避難場所の提供、区民への周知の協力を行う。特に配慮が必要な住民が速やかに避難できるよう、区が保有する情報を活用するなど、事業者に協力する。
●昨年5月に東名ジャンクション周辺の野川での酸欠気泡の発生や地下水の噴出は、「地上には影響がない」という大深度工法の大前提が崩れた大きな問題だ。シールドマシンは24時間稼働する計画であり、いつ何時「万が一の状況」が発生するかもしれないと考えるべき。
8 羽田空港新ルート計画について
Q.最近になって、品川区、江戸川区、渋谷区、(新宿区)と「教室型」が開催されたが、丁寧な対応とは言い難い状況と聞いている。例えば、初回の開催日のたった1週間前に区報で告知したり、参加者の地域を限定したり、的確に答えられる職員が来ていなかったりという課題が指摘されている。練馬区での開催を引き続き要望するとともに、すでに実施した自治体での課題を把握し、改善した形で開催することを要望する。区の考えは。
A.航空政策として国の責任で進めるべき。区は国に対し、地域説明会の開催を含め、区民への丁寧な周知活動を要請していく。
●羽田空港国際線増便にともなう、都心上空超低空飛行新ルート計画は白紙にすべき。