2019年6月19日 一般質問Q&A 質問者:やない克子

練馬区議会 議会放映

http://smart.discussvision.net/smart/tenant/nerima/WebView/rd/speech.html?council_id=61&schedule_id=6&playlist_id=2&speaker_id=46&target_year=2019

 

1.区長の基本姿勢について

Q.2度にわたる知事選挙と、今年2月の「名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票」で、はっきりと「新基地建設反対」の民意が示されているにもかかわらず、政府は強行に基地建設を進めている。民意を無視し、地方自治をないがしろにしている国に対し、国と対等な関係であるべき地方自治体の長としてどう考えているのか。

 

A.我が国の平和をどう守るかという国防上の課題と考える。国際情勢についての十分な情報と分析に基づく高度な政治判断が必要。区は意見を言う立場にない。

 

Q.練馬上空には、ヘリコプターなども含め、航空機がかなりの騒音で低空飛行している。区は「5/19に自衛隊練馬駐屯地で記念行事があり、それに関連して4月ごろから通常より飛行回数が増えていて、区民の方からも問い合わせがある」と回答。記念行事があること、それに伴い航空機が増便され騒音被害が増えることについて、区として積極的な情報収集に努め、ホームページなどで区民に知らせるべき責務があるのではないか。

 

A.自衛隊駐屯地での記念行事の概要、それに伴うヘリコプター等の飛行について、これまでも自衛隊から情報提供を受けている。区民への周知は自衛隊がホームページ、チラシ等で行っている。区が情報発信する考えはない。

 

  • 記念行事以降も低空飛行は続いている。区民生活の安心・安全について責任を負うことを常日頃、表明している区長に対し、区上空を飛行する航空機の運航情報を常に積極的に把握し、情報提供するよう求める。

 

Q.「横田空域」では、米軍は日本政府の許可なくどんな飛行をすることも軍事演習をすることも可能になっている。上空の大部分が「横田空域」である練馬の区長として、区民の生命と財産を守る立場、安心と安全に責任を負う立場から、日本国憲法の上位にあると指摘される日米地位協定の抜本的な見直しを求めるべき。区長の考えを伺う。

 

A.我が国の平和をどう守るかという国防上の課題と考える。国際情勢についての十分な情報と分析に基づく高度な政治判断が必要。区は意見を言う立場にない。

 

  • 横田基地周辺の5市1町は連絡協議会を設置し、安全対策や騒音への配慮を米軍に働きかけるよう、防衛省に要請している。また、埼玉県では、米軍基地の設置の有無にかかわらず「横田空域」下にある自治体が渉外自治体連絡会を構成し、現代の不平等条約=「日米地位協定」の見直し、改善を要望している。練馬区も国にはたらきかけるべき。

 

Q.特定の民族や国籍、出身地などの属性を持つ人々を排斥する差別的言動や憎悪を扇動する街頭宣伝など、いわゆるヘイトスピーチについて、2016年に「ヘイトスピーチ解消法」が制定され、2018年都条例にヘイトスピーチ解消に向けた取り組みが位置付けられた。法や都条例に基づく取り組みや区独自の対応が問われる。区長のヘイトスピーチに対する考えは、どのような姿勢で対処するのか。

 

A.ヘイトスピーチは、不当な差別的言動であり、許されないと認識している。差別的言動の解消に向け、差別落書きへの対応、区民への啓発など人権尊重に係る取組みを実施。公の施設については、条例・規則等に基づき利用の可否を判断している。施設の運営上、支障が生じた際には、その場での注意喚起を行うと共に、場合によっては次回の利用をご遠慮いただくなどの対応を行っている。

 

  • 今年、練馬区でも講演会や街頭宣伝などヘイトスピーチが行われ、警察が出動した。ヘイトデモやスピーチは遠く離れたところのことではなく練馬のこととして対策しなければならない。

 

2.「羽田空港機能強化」と称して、練馬上空を低空飛行する航空機がさらに増える計画について

Q.2014年の計画発表当初から参加者同士の意見や疑問を共有できる「教室型」説明会の開催を要望してきた。ようやく、5/27光が丘地区、6/3練馬地区で開催された。計画そのものをくわしく知らないと思われる複数の質問者があり、まだまだ説明が必要である。より多くの区民が説明を受けられるように、今後も教室型説明会の開催を国に要望すべきではないか。

 

A.区は区民への丁寧な説明が必要と考え、国に要望し、教室型の地域説明会を2回開催した。新飛行経路での飛行開始まで、引き続き、さまざまな機会を捉えた丁寧な説明と更なる周知の徹底を国に求めていく。

 

Q.「町会・自治会に加入していても回覧が回ってこなかった」、「平日の19時開始の時間設定では都合がつかず行けなかった」という声が届いている。説明会に来られなかった人のために、24名の質問とそれに対する国の回答を早急に公開すべきではないか。

 

A.国は、各区で開催された地域説明会について、今後公表していくとのこと。区としては、早期の公表を国に求める。

 

Q.国は「落下物防止対策基準」を義務づけたが、成田着の香港航空機が5月26日から4日間連続、計8便でネジやブレーキ部品など19点の欠落を報告したと報道された。新基準適用後の落下物や部品欠落の報告数を国交省は集計していないと答えた。落下物や部品欠落が減少したのか、新経路決定までに公開すべきと要望したが、明確な回答がなかった。区は、基準適用以前と以後の落下物等の状況を比較し数値を公開するよう国に求めるべきではないか。

 

A.国は、部品欠落の報告制度も2017年に拡充し、その後の状況を公表している。引き続き、国に対し、落下物対策の確実な実施と、更なる対策の強化、丁寧な情報提供を求めていく。

 

  • どんなに基準を厳しくしても落下物はゼロにはならない。説明会では、墜落等の事故についても不安を訴える質問があった。航空機の事故やトラブルは、着陸態勢の時にもっとも多く発生している。新ルートが運用される15時から19時は、子どもたちの下校や保育園のお迎え、買い物や仕事から帰宅するなど、住民が屋外にいる可能性が最も高い時間帯である。

 

Q.新ルート運行開始の目標まで、残り約1年。国交省が示しているスケジュールから「国際線増便の実現」は来年3月29日から、その前段の「新飛行経路周知」は、年明け早々に行われる計画であることが読み取れる。計画ありきでこのままなし崩し的に新ルートが決定されることを容認することはできない。事故の危険性の高い着陸態勢の飛行ルートを都心上空につくる計画は見直すよう国に要望すべきではないか。

 

A.安全を確保した上での羽田空港の機能強化は、東京の国際競争力を高め、多くの観光客の誘致、都民の利便性を向上するのに必要であり、区は国に撤回を求める考えはない・

 

3.香りの害をはじめとする化学物質対策について

  • 化学物質に過敏に反応し健康被害を訴える人々に接する医療従事者や研究者によると、このまま対策がなされなければ、いわゆる「化学物質過敏症」患者は、現在でも増え続けている花粉症患者をはるかに上回ると予測されている。現在発症して苦しんでいる人への対応とともに、予防原則に基づく取り組みが必要。

 

Q.洗濯柔軟剤などの香りの元となっている化学物質によって健康被害が生じることの啓発に早急に取り組むべきではないか。あらためて伺う。

 

A.引き続き、相談内容に応じて、庁内の各部署が連携して対応を行うとともに、今後は化学物質過敏症についてホームページなどを通じて周知する予定だ。

 

Q.経済優先、企業優遇の国政のもとで私たちの暮らしは後回しになっている。区民の健康を最優先に考え、区は、区民への啓発とともに、相談窓口の設置、国に表示義務や使用の規制、実態把握のための調査を求めるべきではないか。

 

A.製品に含まれる化学物質に起因する問題については、製造・販売事業者が責任をもって消費者に対応することが基本である。事業者は昨年7月、品質表示の自主基準の改定、注意喚起の表示を行うこととした。現段階では、国に求める考えはない。

 

  • 衣服についたマイクロカプセルは、摩擦のたびに大気中に放出される。その大きさは、PM2.5よりもはるかに小さい1㎛(マイクロメートル)。それが頭痛や吐き気など化学物質過敏の反応を起こす原因になっている。水俣病などの公害の歴史を見れば、原因究明に至るまでに時間を要し、甚大な犠牲を払ってきた。香りなどの害についても、事態がこれ以上深刻になる前に国が規制すべき。

 

Q.日本消費者連盟や被害者支援団体が、今年3月文部科学省に「学校等における香料を含む製品の使用自粛を求める要望書」を提出した際には、「このままで良いとは思っていない。養護教員や保健の担当が集まる場でお知らせすることはやっています」と答えた。文部科学省から区の教育委員会へ、その「お知らせ」があったのか。

 

A.香りの問題に関する文部科学省からの通知は、現在のところ受けていない。

 

Q.香りの問題は、趣味嗜好ではなく化学物質対策であること、特に許容量の低い子どもたちには、予防原則に基づく対応が求められることを指摘してきた。子どもの教育を受ける権利を保障するためにも、教育委員会から保護者や教職員、学校が適切な判断できるように情報提供すべき。改めて考えを伺う。

 

A.学校からの報告は受けていないが、各校において児童生徒本人や保護者からの相談があった場合は、個別に配慮するなど適切な対応を図ることとしている。現在のところ、香りの害に特化した情報提供は考えていない。

 

4.脱プラスチックについて

Q.中国に輸出できなくなり、国は各自治体の清掃工場で一般廃棄物と一緒に焼却するよう求めている。都知事は現段階では「受入れは難しい」と応じていないが、区としてはこの現状をどう捉えているのか。

 

A.23区の清掃工場は、主に家庭から排出される一般廃棄物を焼却する施設である。事業者が排出する廃プラスチック類を焼却するためには23区の合意が必要で、現時点で受け入れは難しいと考える。

 

Q.今すでに川や海に漂っているプラスチックごみの処理と同時に、処理できずにダブついている廃プラをこれ以上増やさないためにも「発生抑制」を確実にすすめていかなければならない。まずは「プラスチック製品は使わない」「プラスチックのごみを見かけたら拾う」など、区も率先して「脱プラスチック」を呼びかけるべきではないか。

 

A.冊子による啓発、集積所の青空集会、小学校のふれあい環境学習等で、プラスチックごみの発生抑制についても周知してきた。各種行事やリサイクルセンター講座等で、マイバッグの推奨によるレジ袋の削減や、使い捨てプラスチックの使用を減らすことを区民に働きかけている。

 

  • 河川や港湾からは人工芝や農業肥料用のマイクロカプセルなども採取されている。プラスチックでコーティングしたマイクロカプセルは、長い時間をかけて細かくなり、川から海に流れ出ていく。また、街中に置かれているコーンや家庭に設置している段差解消のスロープなどが砕けた細かい破片も汚染の原因となる。生活の中のプラスチック製品を減らす取り組みが必要である。

 

Q.今月5日に開かれた「ゼロエミッション都庁推進会議」では「会議ではグラスで水を提供する。ペットボトル、プラスチック製のストローは使用しない。イベントでの使い捨てプラカップを削減する。文房具、ノベルティグッズは、再プラスチックを検討する。発生抑制Reduce(リデュース)、再使用Reuse(リユース)、再生利用Recycle(リサイクル)の3つを都自らが進める」と決めた。庁舎内で販売されているペットボトル飲料を缶などへ替えるなど、区もできるところから実践すべきではないか。

 

A.職員が庁舎売店で購入する際に不要なレジ袋を受け取らないこと、我夢舎楽にマイボトルを持参することなど、積極的にプラスチックごみの減量に取り組むよう、周知していく。区独自でできることには限界があるが、国や都の動きを見極めながら、引き続き努力する。

 

  • 2017年度練馬区環境作文コンクールで、6年生の「プラスチックゴミを減らしたい」が入賞作品に選ばれた。「人間は便利さだけでなく、地球への優しさを考えることも必要。地球がゴミに埋もれてしまう前に、個人ができる事からやっていきたい」と訴えている。
  • 自主的に川の清掃に協力しているグループもあるが、子どもも大人も一緒に区と区民との協働で「脱プラスチック」に取り組むことを求める。

 

5.緑化協力員制度について

Q.2017年みどりの基本計画改定にあたり質問したところ、区は「緑化協力員制度を廃止する考えはない」と言い切った。ところが、現在、区のHPで来年4月以降は新たに協力員を募集しないと公表していて、実質廃止の方向を示していると受け取れる。現在の緑化協力員制度は、今後廃止するのか。

 

A.緑化協力員制度が担ってきた、地域のみどりを保全する活動に参加する機能は、パワーアップカレッジねりまへと移行させる。

⇒ 制度を廃止するか否か明確に答えなかったため再質問したが、「先ほど答えた通り」と。

 

Q.今年5月の緑化委員会で、緑化協力員から「区の対応は不十分で、協力員へのリスペクトした対応を求める」、「今年2月突然区の担当者から『2020年4月以降の協力員の募集をおこなわない。今後パワーアップカレッジねりまで、みどりを守る人材の育成をおこなう』と口頭の説明しかない」などの不信の声があがった。今後の活動について、緑化協力員が納得するような話し合いを持つことを求める。区の考えは。

 

A.緑化協力員には、ブロック活動など様々な機会を捉えて、丁寧に説明を行っていて、活動の継続と拡充に向けたご意見や相談を承っている。

 

  • 活動の広がりや人材育成などを考慮し、新たな取り組みに転換することは否定しないが、「廃止する考えはない」と言い切ったことを変えるのであれば、関係者との丁寧な合意形成は不可欠だ。信頼なくして区民との協働は成しえない。

 

6.介護保険制度について

Q.2020年度までに審議する社会保障改革として「ケアプラン有料化」を含む工程表が、昨年12月に示された。今年4月「ケアプランの作成等のケアマネジメントについて、利用者負担を設けることが必要」とする改革の方向性が提案された。ケアマネジメントに自己負担を導入することによる利用者・家族の生活への影響について、区はどのように考えるか。

 

A.ケアマネジメントの利用者負担は、創設時や制度改正のたびに議論されてきた。ケアマネジメントの質の向上に資するという意見やサービスの利用抑制につながりかねないとの意見がある。介護保険制度の見直し内容が明らかでないため、利用者や家族への具体的な影響は不明である。具体的な案が示された段階で、影響を見極め対応する。

 

  • 区の介護保険認定者のうち、8割は自宅で暮らしていてケアプラン作成は、在宅生活を支える大切な制度だ。もしケアマネジメントに自己負担を求めたら、サービスの入り口で相談することをためらう利用者や家族が増え、ぎりぎりまで我慢して立ち行かなくなってからの相談になるのでは、と危惧される。介護保険は介護を社会で支えるとして導入された保険制度だが、「ケアプラン有料化」は理念からかけ離れてしまう。

 

Q.国が決定する前に、区は、利用する区民の立場にたって、都内の自治体と連携し、ケアプランを有料化しないよう国に求めるべき。考えを伺う。

 

A.財務省は利用者負担を導入する提言案を示している。一方、厚労省は制度改正に向け、ケアプランの有料化についての検討を含んでいない。現時点で、国に意見を述べる考えはない。

 

7.道徳の教科化について

  • 教科書は学習指導要領の重点的指導に合わせて作成され、文部科学省の検定を通った中から選ばれる。特に、道徳のような価値観や生き方など、個々の考えが尊重されなければならない内心の問題に対し、国が認めた教科書で指導をおこなうことは政治的な介入であり、価値観の押しつけによって子どもたちが同じ方向に誘導されていくことは重大な問題である。また、逆に教科書があることで、教員が指導要領に沿って、児童生徒から目標に合った発言を引き出させるよう授業を進めていけばいい、と教員自体の考えが画一化され、創意工夫がなくなるのではないかと考える。

 

Q.道徳が教科化されたことで、教科書を使用し、学習指導要領に合わせて授業をおこない、評価するようになった。評価は、数値ではなく記述によるものだが、何をもって評価するのか、そもそも正解や到達点のない道徳に評価があること自体問題だ。「教科書の内容について、どのような発言をすれば『よい評価』につながるのかを子どもたちが先読みしてしまうので、評価するのが大変」という教員の声が届いているが、教育委員会は聞いているか。

 

A.「子どもたちが先読みしてしまい、評価するのが大変」という報告をこれまで学校から受けたことはない。

 

Q.道徳科の授業が学校教育全体でおこなう道徳教育の要とするならば、学校での普段の行動や発言が道徳科の評価に反映されてしまうのではないかと危惧する。道徳の教科化を見直すよう国に求めるべきではないか。

 

A.道徳科における評価は、授業の中で子どもたちが考えを発表したり書いたりする姿や、子どもたちの考えそのものを積極的に認め励まし、成長を促すことを目的にしている。他の子どもと比較して優劣をつけたり、子どもたちの日常の行動を評価に反映したりすることは全くない。道徳の教科化を見直す考えはない。

 

Q.国連子どもの権利委員会から、子どもの意見の尊重については「すべての事柄について自由に意見を表明する権利を保障し、かつ子どもの意見が正当に重視されることを確保すること」、教育については「過度に競争的なシステムを含むストレスの多い学校環境から子どもを解放するための措置を強化すること」と勧告を受けている。子どもたちが気づかないうちに、規範意識を押し付けられたり、評価されることは、子どもの権利条約に反することではないか。考えを伺う。

 

A.国連子どもの権利委員会から受けた勧告については承知している。区立小中学校ではすでに、子どもたち自身が自由に考えて話し合う活動や多様な考えを理解し認め合うことを重視した指導を行っており、自由に意見を表明する権利は十分保障されていると認識している。

 

  • 子どもが社会の一員として一人ひとりの考えが尊重され「みんな違ってあたりまえ」と、お互いを認め合えるシチズンシップ教育こそすすめるべきだ。

 

 

私たちは、日本国憲法に謳われている「平和主義」「基本的人権の尊重」があってこそ、暮らしの安定が実現すると考えている。これからの4年間、生活者の視点で、暮らしが良くなる区政になるよう取り組んでいく。