2017年9月11日  やない克子 一般質問

2017年9月11日  やない克子 一般質問しました。

 

1.区長の基本姿勢について

2.LGBT施策について

3.低所得者の住まいの確保について

4.育児支援ヘルパー事業について

5.総合治水について

6.みどりの基本計画改定について

7.子ども議会について

 

1.区長の基本姿勢

Q1 区独立70周年記念として作成された「I Love 練馬あるある」に「板橋区にはなんとなく勝てそう」「港区には勝てる気がしない」の表現がある。行政が「勝ち、負け」を笑いのネタにしてアピールすることからは、さまざまな人が「ともに暮らす」区政を推進する姿勢は感じられない。自区を盛り上げることを勝ち負けで表現することに不快感を持つ区民もいる。考えは。

A1 区内外で好評を得ている。メディアにも好意的に取り上げられ、大成功。

 

Q2 区長は、非核都市宣言決議当時の『日本国憲法の立場に立つ』という精神について「憲法の恒久平和の理念を生かしたものであり、現在もこの考えに変わりはない」と言った。自分たちの都合で自衛隊員のいのちと人権をないがしろにし、国民を戦争に巻き込もうとする現政権を、2か所の駐屯地を抱え、日本国憲法の立場に立ち軍縮を掲げる区の長として無関心ではいられないはず。安倍首相が改憲案を出すこと自体が憲法違反であると考えるが、区長の考えは。

A2 憲法には改正について指定した条文がある。首相が憲法改正について発言することが憲法に違反するとの認識はない。

 

Q3 今年7月、核兵器禁止条約が122の国連加盟国の賛成で採択されたが、日本は交渉会議をボイコットした。区は「われわれは世界最初の被爆国民として、平和憲法の精神に沿って、核兵器の全面禁止と軍縮の推進について積極的な役割を果たすべきである」と非核都市宣言している。条約への日本の参加を求めることこそ、区が果たすべき役割ではないか。

A3 核兵器の深刻な脅威を踏まえた国際情勢についての十分な情報と、周到な分析に基づく高度な政治判断が必要。区は意見を言う立場にはない。

 

 

2.LGBT施策について

Q4 渋谷区、世田谷区、那覇市、伊賀市、宝塚市、札幌市と、同性パートナーシップ制度やそれに準ずる取り組みは広がりつつある。2015年第4回定例会で「現実的な施策の効果が不明。このような取り組みをする考えはない」と答え約2年経過した。あらためて考えを聞く。

A4 施策の効果が不明であること等から現時点では取り組む考えはない。

 

Q5 13人にひとりがLGBTの当事者であるとの民間の調査もある。職員には、区の窓口に来た方の中に当事者がおられることを前提とした対応が求められる。文京区では、基礎知識、区民への対応、子どもを取り巻く環境、職場内の対応などを具体的に明記した、教職員向けの「性自認および性的指向に関する対応指針」を作成した。世田谷区や豊島区では、職員互助制度の中で、結婚祝い金や弔慰金、病気見舞金を支給している。職員自らが関わる制度を見直すことで自分ごととして実感できるはず。対応マニュアルの作成や福利厚生制度の見直しについての考えは。

A5 研修に基づき対応。対応指針を作成する考えはない。福利厚生制度についても、制度改正による効果が不明であるため、取り組む考えはない。

 

Q6 性自認(心の性)や性的指向(誰を好きになるか)に関する困難は、幼少期から始まっている。教育の現場に求められているのは、「LGBT」を教えるのではなく、「性の多様性」をともに学ぶこと。職員室でLGBTに対して差別的な会話を聞くと、とても声を上げられないという教員の悩みや、子どもたちに無意識に差別的な言葉を発する教員の実態も聞いている。教育委員会は、学校の取り組みと教員の理解をどのように把握しているのか。

A6 区に差別的な発言をする教員はいない。全校に性に関する指導を含めた人権教育の年間指導計画を求めて把握。研修会等で理解啓発にも努めている。

 

Q7 教育委員会が、多様性を尊重し、差別を許さない姿勢を示すべきだが。

A7 自他の個性を認め合い、偏見や差別を許さない姿勢は以前から変わらない。引き続き徹底に努める。

 

 

  1. 低所得者の住まいの確保について

Q8 以前より居住支援協議会を設置し、空き家・空き室を活用した安価な住まいの確保とマッチングを求めてきたが、区は、東京都居住支援協議会での協議内容を踏まえて取り組むと答えてきた。区が協議会を設置することで、地域の実情に応じた具体的な支援に取り組むべき。あらためて考えを聞く。

A8 今年10月に施行される「新たな住宅セーフティネット制度」に基づく、都の制度化の状況を注視しつつ、住宅確保要配慮者の円滑な入居支援について、不動産関係団体や福祉関係団体との具体的な方策について協議する。

 

Q9 住まいの確保に困難な人の「暮らしを支援する機能」も求められている。現在、空き家と公益的事業をマッチングしている「みどりのまちづくりセンター」や社会福祉法人等と連携して、空き家を活用した低家賃の住宅確保と提供に取り組むべきだが、どうか。

A9 不動産関係団体や福祉関係団体との協議を踏まえて、区居住支援協議会の意義・効果と設置の必要性や社会福祉法人等との連携についても検討する。

Q10 高齢者の賃貸住宅入居がすすまない理由は、亡くなった時や生活上での助けが必要な時に頼れる機関がないこと。家主からは、家賃補助より何かあった時に対応してくれる人が必要との声が多く寄せられている。緊急時対応や葬儀の実施・遺品の片づけなどをおこなう、今ある「あんしん居住制度」は高額で、低所得者には使えない。住宅確保要配慮者の入居を円滑にするために、居住支援法人の育成も求められるが、考えは。

A10 居住支援法人といえども、民間活動団体であり、必ずしも適切なサービスを低廉な負担で提供できるとは限らない。育成・連携については今後の課題と認識している。

 

 

4.育児支援ヘルパー事業について

Q11 訪問するヘルパーには、介護職員初任者研修修了者、あるいは保育士・介護福祉士等の資格が必要。専門の資格を求める理由は。

A11 現在、利用状況に応じた資格要件について、改めて検討を進めている。

 

Q12 介護保険の家事援助の報酬は、単純計算で1時間約3000円に対し、この事業では1700円である。介護保険事業者は、人材不足に悩まされているうえに、昨今の介護報酬の引き下げによって、経営努力も求められている状況下で、報酬が少ない事業を後回しにせざるを得ない実態がある。事業委託に有資格を条件にするのであれば、同等の対価を支払うべきだが。

A12 報酬支払に対する考え方が違う。現在進めている資格要件の見直しなど、事業内容を見極めて判断すべきものと考える。

 

 

5.総合治水について

Q13 都が目白通りの下に建設中の白子川地下調節池と石神井川、さらに既存の神田川・環状7号線地下調節池をつなぐ、神田川・環状7号線地下広域調節池は国内最大級と言われ、経費は約2000億円という大がかりな工事で、完成すれば1時間に75ミリの雨量に対応できるとしている。この整備の完成時期と、完成後に浸水被害がどの程度解消すると見込んでいるか。

A13 2016年に工事着手し、2025年の完成を目指している。洪水調節機能を流域間で融通することにより、局地的集中豪雨に対しても高い効果を発揮する。

 

Q14 コンクリートにより自然の力を押さえつける「グレーインフラ」に対し、自然の力を活かし、賢く使う「グリーンインフラ」が注目されている。区は2006年から雨水タンク設置の助成制度を実施しているが、特別な場合を除き、雨水浸透施設とセットでないと助成を受けられない。雨水の流出抑制・活用のために雨水タンクのみでも全額助成すべきだが、どうか。

A14 雨水タンクは効果が限定されるため、今後も雨水浸透施設への整備促進を主とした現行制度で助成する。

6.みどりの基本計画改定について

Q15 緑化委員会の説明資料には緑被率30%の達成が困難であるかを示し、将来像の考え方「みどりの総量の確保を目的化せず」と明記している。しかし、昨年実施した「みどりの実態調査」では、区の緑被率は23区で最も高く、総量にこだわって努力したみどり30推進計画の成果が現れている。計画の目的から「みどり30」の理想を外すべきではないが、どうか。

A15 みどり基本計画改定の中でみどり30推進計画も見直す。

 

Q16 「みどりの基本計画」を区民協働で推進するための緑化協力員の制度も廃止する方向が示されている。すでに、「みどりの機構」を解散に追い込み、緑化協力員制度を廃止して改革を推し進めようとしているが、長年、関わってきた区民に対し説明責任が求められている。信頼関係なしに区民との協働は成り立たない。新たな協働のしくみをどのように構築していくのか。

A16 みどりの区民会議からの提案を踏まえ、今後具体的に検討する。

 

Q17 区長は、区報で「緑を創出し、更新して行くには、『良い管理』が不可欠」、「目先の個別処理ではなく、長期的総合的な管理へと舵を切らなければならない」と述べた。「長期的総合的管理」は誰がどのように行うのか。

A17 区が責務を果たすほか、区民参加が重要。

 

Q18 「長期的総合管理」に、区民の参加と参画はどのように保障されるのか。

A18 区民会議からの提案を踏まえ、区民が参加しやすい仕組みをつくる。

 

 

7.子ども議会について

Q19 「子どもたちが日ごろ疑問に思っていることや希望など、豊かな感性から出された意見を区が聞き取り、区政に反映させる機会」という目的に沿って運営されているか疑問。子ども議会開催当初の3つの目的から、2013年度に「子どもの権利保障の周知・啓発」が削除された。事前学習で「子どもの権利」について学ぶ時間が設けられていたが、2015年度からはその機会も無くなった。目的から外した理由は。

A19 2013年度、志村区長のもとで、子ども議会の活動が、児童の権利条約に基づくものなので、改めて目的に掲げる必要はないとした。

 

Q20 今回、目的から子どもの権利が外されたように、子どもの権利を軽視することを危惧する。子どもの意見表明権の保障を明記した「子どもの権利条例」を制定すべきではないか。

A20 2015年度に児童の権利条約を踏まえて策定した「子ども・子育て支援事業計画」を実施することで子供の権利擁護が図られる。条例制定しない。