2021年9月14日 一般質問Q&A 質問者:きみがき圭子

練馬区議会 議会放映 (discussvision.net)

 

1 区長の基本姿勢について

説明:区単独の取組では限界のある、医療提供体制の整備、自宅療養者支援、ワクチン配布、入院調整などについて今月1日、都知事に緊急要望書を提出したと報告された。

保健所長からは新型コロナ感染症の5波は、新たなデルタ株拡大によってこれまでと全く違った状況を生み出している、と緊迫した状況を聞き、保健所の体制も大変厳しいものと理解している。他自治体では自宅療養者が連絡を取れないまま、気づかれずに亡くなる事例も起きている。

区は保健所の人員を77人から121人体制へと増員し、新たに自宅療養環境整備担当課も設置した。

 

質問:区長が都に要望した内容について、現状の何を限界と感じ、都の役割として何を求めたのか具体的に答えよ。また、練馬区医師会と新たにどのように連携を強化していくのか。

区の回答:7月下旬以降、入院待機者を含めた自宅療養者が連日1,000人を大きく超え、自宅療養者支援に重点を置いた体制強化が急務となった。今月1日、地域医療担当部に自宅療養環境整備担当課を設置。練馬区医師会や練馬区薬剤師会と連携しながら、かかりつけ医や薬剤師会による健康観察を新たに実施する。また、往診医、訪問看護師、訪問薬剤師が連携した医療提供体制を強化し、症状が悪化した際に速やかに医療につなげていく。

区単独での取り組みでは限界のある医療提供体制の整備、自宅療養者支援、ワクチン配付、入院調整などについて、今月1日、都知事に対し緊急要望書を提出した。また、酸素投与が必要となった場合の受け入れ先である「(仮称)練馬区酸素ステーション」の早期設置に向けて、区は都に働きかけ、実務的な協議を進めている。

 

説明:ワクチン接種について区は「職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないようお願いする」とホームページで周知。

ところが、現実には職場で接種済証明書を求められたり、未接種を理由に配置転換させられる事例があると聞いた。他自治体では接種したか生徒に挙手で確認した学校もある。また、あいさつ代わりに「ワクチン終わった?」と言われることは、接種したくてもできない人には苦痛でしかない。

国の新型コロナ対策分科会では「できる限り制約のない日常生活に戻すため『ワクチン・検査パッケージ』を活用した総合的な取り組みを導入すべき」とした提言をまとめた。

意見:私たちは、このようなことは差別につながる深刻な人権問題と考える。感染症は誰にでもかかり得るのに、感染者や家族、療養が終了した人への差別的言動も問題。

 

質問:区報やホームページのトップに差別的な言動はやめるよう、継続的に掲載するなどの周知啓発を求める。区長の考えは。

区の回答:ワクチン接種は強制ではなく、あくまでご本人の意思に基づき受けてもらうもの。接種を受けていない方への差別的な言動はあってはならない。引き続き、区報や区ホームページなどを活用し、周知啓発していく。

 

説明:最近、児童相談所やまちづくりについての練馬区長の考えや区の取り組みが相次いで新聞に取り上げられた。記事では「福祉に熱心な気骨のある都庁職員」とする一方で「未完の計画を遂行しなければならないとする都庁幹部のDNAがある」とも書かれていた。 「100m程度のビルは何本か必要ではないか、商業と住宅の中心拠点をつくり、それによって周辺に緑を残したい」記事では、区長のこの考えが石神井公園駅南口のタワーマンション計画を動かしたという書き方である。

収束の見通しが立たない新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験し、私たちの暮らしは大きく変わった。変わらざるを得なかった。経済活動では、感染防止のためにリモートワークが推奨され、オンライン会議でも可能なことがわかり、出張などは激減している。

加えて気候危機問題。原因は人間活動によるものであり、もはや国民一人一人が努力しても、社会のしくみやビジネスモデルが変わらないと、脱炭素社会の実現は難しいと指摘されている。大胆な発想の転換が求められている。

 

質問:「気候変動対策は重要だが、練馬のインフラ整備は計画通りに」という狭い視野ではなく、自治体のトップに立つ区長には、グローバルな視点で発想を転換し、半世紀以上前に決定した道路計画や駅前に高層ビルを建設するような従来のまちづくりを見直し、練馬のみどりと広い空を享受する新しいまちづくりに積極的に取り組む決断を求める。区長の考えは。

区の回答:区は区民とまちづくりの方向性やめざすまちの将来像を共有し、ともに取り組んでいくため、2018年6月に都市のグランドデザインを策定し、区に相応しいまちの将来像を示した。区がさらに発展していくためには、都市計画道路の整備や、駅周辺の土地の有効利用による拠点整備などを進めることは不可欠である。

交通を円滑化し、豊かな街路樹を持つ都市計画道路の整備や、みどりある広場を創出する再開発事業などは、環境負荷の低減に寄与する事業であり、都市インフラ整備などのまちづくりと、気候変動対策は相反するものではない。

 

2 気候危機とエネルギー政策について

説明:環境省が8月に公表した「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書」では「人間の影響が気候システムを温暖化させてきたのは疑う余地がない」と言い切っている。また過去10年で人間活動が気温を1.07度上げたことが明らかになっている。洪水、熱波、食料不足、生態系の損失がすすみ、発展途上国や将来世代が深刻な被害を受けることになる。

2015年のパリ協定において温室効果ガスを削減し、産業革命以前と比べて気温上昇を1.5度に押さえることが必要で、そのためには2050年までにCO2の排出量をゼロにしなければならないことが示された。

日本も2030年までに2013年比で26%削減だったこれまでの目標を46%に上げ、さらには50%を目指すとし、2050年までに80%だった目標を100%に上げることを示している。

 

質問:練馬区環境基本計画で定める「地球温暖化対策計画」に基づく指標は2030年までに 2013年比で26%削減。今後見直し、前倒しで達成させるくらいの対策をすべきと考えるがどうか。またそのための具体的な対策を考えているのか。

区の回答:環境基本計画等に基づき、温室効果ガスの削減のため、再生可能エネルギーの利用促進や省エネルギーの取り組み、ごみの発生抑制やリサイクルなど、区民との協働で取り組み、目標値を前倒しで達成してきた。現在の目標値についても、早期に達成できるよう取り組みを進める。国の「地域脱炭素ロードマップ」や都の施策等を踏まえ、現在、区としての今後の取り組みを検討している。

 

説明:脱炭素社会の早期実現に向けて、エネルギーもできるだけ早い段階で、石炭火力から再生可能エネルギーにシフトしていく必要がある。ところが国が示した第6次エネルギー基本計画(案)では、2030年の目標において再生可能エネルギーを主力電源としたものの、依然として石炭火力を19%とし、世界各国からも批判されている。また、原子力も第5次計画と変わらずベースロード電源として20~22%だ。

そのためには原則40年の原発稼働年数を60年に延長してまで動かさなければならず、安全確認に問題があり、停止している原発もあることから、実際問題として20%の確保は不可能と言われている。

また、経済産業省における2030年の発電コストの試算では、原発の発電コストより太陽光による発電コストの方が低いことが明らかになった。

ひとたび事故が起きれば人々の命や暮らしが奪われ、補償や廃炉の費用など、事故の処理にもどれだけ費用がかかるかはかり知れない。

 

質問:区として国に対し、原子力はゼロ、石炭火力も2030年にはゼロを目指し、再生可能エネルギーを最大限増やし2050年には100%にするよう求めるべきではないか。

区の回答:エネルギー基本計画における電源構成については、国のエネルギー政策で取り扱われるものと考えている。区として、電源構成について意見を述べることは考えていない。

 

質問:気候危機を止めるためには区民との協働が必要。札幌市では昨年、無作為抽出で選ばれた市民が気候危機について議論し、政策へとつなげる「気候市民会議」が開催された。区も環境行動連絡会と連携し、様々な年代の区民との意見交換の場をつくり、政策に反映させることを提案するがどうか。

区の回答:住宅都市練馬区では、温室効果ガスの半数以上が家庭から排出されていて、区民一人ひとりの行動が温室効果ガス削減の鍵となる。これまでも練馬区地球温暖化地域協議会や練馬区民環境行動連絡会をはじめ、区内の事業者や区民団体と情報共有を図り、連携して啓発活動等を行っている。今後とも、幅広く情報発信に努め、区民の意見をもらいながら取り組みを進める。

 

3 プラスチック削減について

説明:増え続ける海洋プラスチックと廃プラスチックの輸出規制から、プラスチックの削減と国内循環の必要性に迫られ、2019年にプラスチック資源循環戦略が策定された。

プラスチックは生産から廃棄までの各段階において大量のCO2が排出されることからも、2050年にCO2排出ゼロを達成するまでのあと30年で、プラスチック製品を早急に減らしていく必要がある。

ごみを燃やして発電や熱供給するサーマルリサイクルは、いくら設備の性能が良くなったとしても、有害物質やCO2排出は免れず、海外ではサーマルリカバリーとされ、リサイクルとして認められていない。小泉環境大臣も「日本でも海外と同様、これからは熱回収をリサイクル率には入れない。」と明言している。

プラスチックごみの内訳を見ると、約8割が使い捨ての容器包装プラスチックで、一人当たりの年間排出量は世界でアメリカに次ぐ2位。また日本で調査した海岸に漂着するペットボトルの製造国は、東シナ海や日本海側では中国や韓国の物が多いが、太平洋側では日本の物が多い傾向にあることがわかっている。そして環境省の最新の報告では、マイクロプラスチックの海洋ごみの個数は日本周辺海域が最も多く、マイクロプラスチックのホットスポットとも言われている。

 

質問:2020年7月にはレジ袋有料化が始まり、その結果、大幅に削減できた。コンビニ、スーパー、ドラッグストアいずれもレジ袋の辞退率が約8割と報告されている。

区庁舎でも練馬区役所プラスチック削減指針に基づき、レジ袋やプラスチックのストローの廃止、会議でのペットボトル廃止、マイボトル対応の給水機の設置など取り組んできたが、全区立施設への設置、また区内の事業者に協力を呼びかけ給水スポットを設置してもらうなど、今後さらなる削減に向けて検討すべきと考えるがどうか。

区の回答:2019年12月に「プラスチック削減指針」を策定。庁舎内売店でのレジ袋有料化の先行実施、本庁舎アトリウムへのマイボトル用給水器の設置、プラスチック製クリアファイルの抑制、催事におけるマイバッグ、マイボトルの持参呼びかけなどを行ってきた。区内各種団体にも協力を呼びかけている。

 

質問:区の指針に「啓発用クリアファイルは、プラスチック製品の使用を極力抑制する」とあるが、「区から配布されるプラスチックのクリアファイルが多くて紙に変えられないか?」という区民の貴重な意見を区長もご存じのはず。

区民が率先して脱プラスチックに取り組もうとしているのだから、その姿勢を受け止め、紙に変える、あるいはファイル自体を無くす、など実現すべき。区の考えは。

区の回答:啓発用クリアファイルについては、新たに作成したものはない。すでに作成したものや、共済者が作成したものを配布している事例があったが、今後、他のものへ変更していく。

 

質問:区が脱プラスチックに真剣に取り組む姿勢を区民に示し、「プラスチック製品を貰わない、買わない、燃やさない」という意識啓発をすることも重要ではないか。

区の回答:本年6月、全庁的に調査したプラスチック削減指針に掲げた各取り組みの達成率は、おおむね6~7割となっている。区民への周知・啓発は、ホームページでの特集や資源・ごみ分別アプリのプッシュ通知、リサイクルセンターでの展示、講演会のネット配信などを行ってきた。今後もプラスチックの削減に取り組む。

 

説明:容器包装プラスチックの生産から回収・選別・リサイクルすべての費用を生産者が負担する拡大生産者責任について伺う。

現在の容器包装リサイクル法では、購入した製品をきちんと分別してごみ集積所に出すことが消費者の責任、最も負担が重い、ごみの回収・選別・保管が自治体の責任、生産に関わる費用と再商品化が生産者の責任となっている。製品価格に税金で負担しているリサイクル費用は上乗せされていないので、プラ容器の製品を買わない人も負担していることになる。生産者も処分の負担を気にせず製品をつくることができ、負担のあり方が公平ではないことが問題となってきた。

 

質問:税金で負担しているリサイクル費を製品価格に含めることで、生産者は何度でも繰り返し使える容器を工夫し、費用をかけず、ごみを出さずに再製品化できるサーキュラーエコノミーが実現する。自治体の負担も減り、消費者も選んで買うことができる。同時に、6月に成立したプラスチック資源循環促進法により、自治体の負担がさらに重くなることが予測される。

今こそ区として拡大生産者責任への転換を強く国に求めるべきではないか。

区の回答:本年6月に公布されたプラスチック資源循環促進法においても、拡大生産者責任の理念を継承し、事業者による不用となったプラスチック製品全般の自主回収・再資源化計画の策定など、より踏み込んだ取り組みを求めている。区では本年8月、特別区長会を通じて国に対し「国の責任の明確化および財政支援」について要望した。

 

4 香害および化学物質過敏症の啓発について

説明:8月初旬、国は「香害」香りの害の周知と香り製品の自粛を求めるポスターを作成、発行した。消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省の5省庁連名であることは、化学物質過敏症の被害者団体や消費者団体などが5省庁に対して粘り強く改善を求めてきた成果だと考える。特に、企業の側に立つ経産省が入っていることは、今後の規制や法制化が期待される。

ポスターの使い方について、消費者団体が5省庁に確認したところ、消費者庁が全国の消費生活センター等に、文科省が自治体の教育委員会に電子版で配布したとのこと。区の状況を聞いたところ、消費生活センターに2部送られてきたとのことで、1部は掲示してあった。

練馬区では、2018年に香りの害や化学物質過敏症を啓発するリーフレットが作成され、消費者センターや保健相談所などに配置、教育委員会も校長会で活用を働きかけるなど、区民への啓発に取り組んできた。

 

質問:国が作成したポスターの活用方法と、区作成のリーフレットとの使い分けについて、区の考えを聞く。

区の回答:国が作成したポスターは、すでに保健相談所、消費生活センター、小中学校、児童館、保育園、子ども家庭支援センターなどに掲示している。区作成のリーフレットは、ホームページのほか保健相談所や消費生活センターで配布するなど周知に取り組んできた。今後ともこのリーフレットを活用し周知に努める。

 

意見:「香害」をはじめとする化学物質過敏症は、ごくわずかな化学物質でも頭痛や吐き気、呼吸困難などの症状が現れる。ある日突然発症するケースも多く、さらに、誰にでも起こりうるリスクがあるため、予防原則に基づく対策が必要。

国作成のポスターは、「香りの強さの感じ方には個人差がある」「使用量の目安などを参考に」「周囲の方にもご配慮いただきながら」という文言を使用し、香りの害による健康被害の本質を啓発できていない。むしろ誤ったメッセージになりかねないと当事者からの指摘の声が多数上がっている。

区作成のリーフレットも「香りのエチケット」という表記に留まっていることから、私たちは文言を見直すよう求めてきた。

 

質問:香りの害や化学物質の多用に警鐘を鳴らす多くの市民の声を受けて、5省庁による啓発ポスターが作成され、国も「何とかしなければ」と考えるようになったので、この際、区作成のリーフレットを被害当事者の声を聞きながらより的確な表現になるよう見直すことを求める。区の考えは。

区の回答:国における研究では「いわゆる香害と化学物質との因果関係が疑われるような結果は明らかになっていない」とのことだ。したがって現段階では、リーフレットの改定は考えていないが、今後とも国や業界団体の動向を注視していく。

 

5 「(仮称)練馬区障害者の意思疎通に関する条例」について

説明:2006年に国連で採択され、2014年に日本が批准した「障害者の権利に関する条約」は、「私たちのことを私たち抜きで決めないで」を合言葉に、世界中の障がい当事者が参加して作成された。私たちは、この理念に基づき、障がいがある方に関わる施策について話し合う会議に、より多くの当事者の方を構成員にすることを求めてきた。

区は、2022年度の条例制定に向けて「練馬区障害者地域自立支援協議会」の専門部会として、「(仮称)意思疎通条例 検討部会」を設置し、検討を始めている。横浜市では、障がい者について話し合う会議では、参加するさまざまな障がい当事者に配慮し、当事者から大変好評であると聞いている。

 

質問:区の検討部会に出席している障がいのある方が自ら考え発言するために、どのような合理的配慮をしているのか、具体的な答えを求める。

区の回答:検討部会には聴覚障害や視覚障害、知的障害、高次脳機能障害のある方が参加している。手話通訳者や要約筆記者の配置、配布資料の文字拡大、ルビや用語の注釈の挿入、会場への同行支援など、各委員の申出に基づき、障害特性に応じて必要な配慮を行っている。

 

意見:意思疎通に関する条例は、障がいのあるなしに関わらず共に生きる共生社会の実現のために制定すると考える。すでに23区内でも多くの区が制定している。

区でこれから制定する条例に、「障がいのある方が情報を取得し、コミュニケーションをおこなう権利が最大限尊重されること」や、「障がいのある人とない人のコミュニケーション手段の選択と利用については、互いの人格や個性を尊重して行われること」を基本理念として掲げることを求める。

さらに、区の責務として「区民、事業者が基本理念の理解が深まるように必要な措置を講ずること」を盛り込むべきである。

意思疎通とは、自分の意思を決定し表明することが大前提のはず。しかし、自分の意思を表明することは、たやすいことではない。成長する過程において、自分の意見を聞いてもらう、認めてもらう、相手の意見を理解するなどの体験を積み重ねることが重要である。

 

質問:現在作成の条例には、コミュニケーション手段の利用の保障だけでなく、障がいがある方が意思表明できるように、区の責務として「障がい者の学びの機会を保障すること」を明記すべきではないか。

区の回答:どのような内容を規定していくかは、今後検討部会での議論や自立支援協議会からの意見などを踏まえて検討していく。

 

6 外環道について

説明:昨年10月に発生した調布市の住宅地での陥没事故を受け、外環道のすべてのシールドマシンは掘進作業を停止した。ところが事業者は7月になって突然、大泉ジャンクション部の3機のシールドマシンのうちの2機について、「保全措置のために百数十メートル掘進する」と発表した。周辺住民への周知が作業開始日の3日前とは、あまりにも住民無視と言わざるを得ない。

セメント地盤改良部分に停止していたことで、機械と改良地盤との固着に伴い、シールドマシンへの負荷が大きくなり、それが周辺の地表面に影響する懸念があるとのことだが、実は当初から有識者委員会では課題になっていたと聞いた。 なぜ、計画的に自治体や住民に丁寧な説明を行わなかったのか、あらためて事業者の不誠実な姿勢に不信は募るばかりだ。

 

質問:東京外環道の事業期間は、今年の3月に10年間延長された。 大泉ジャンクション周辺は工事開始から既に数年経過している。陥没事故の対応などを受けて、工事中の状態がいつまで続くのか見通しが立たず、住民から苦情が上がっている。区として大泉ジャンクション周辺の住民の声をどう受けとめ、現状をどのように考えているのか。

区の回答:大泉ジャンクション周辺地域では、道路の通行止めや切替え、幅員の縮小などにより、地域住民の日常生活に影響していると認識している。事業者から地域住民への工事の進捗状況など適時適切な情報提供を行うとともに、工事の早期完成が必要と考えている。

 

意見:住宅地の真下に巨大トンネルを建設する東京外環道について、沿線住民は地上への影響を指摘し中止を求めてきた。しかし、強行に進めた結果、工事によって住まいを壊し、健康被害が生じた。暮らしを犠牲にする東京外環建設は今からでも中止すべき。そして、事業未着手の都市計画は始める前に慎重に考えることを求める。

 

7 子どもの権利に基づいた子ども施策について

説明:2学期が始まり、緊急事態宣言中は午前授業で給食を食べて下校となった。欠席した児童生徒は午後の時間に学校、あるいは自宅でのオンラインで健康観察や午前中におこなった授業をまとめて受ける。

保護者からは、「新学期の授業がどうなるのか」、「新型コロナ感染症が子どもに広がっている時に行かせるのが不安で休ませたいが、学校の対応がわからない」、「オンラインで授業が受けられるのか具体的な対応が伝わってこない」、などの声が早くから上がっていた。結局学校から保護者にお知らせのメールが届いたのは2日前と聞いた。

 

質問:国の動きなど日々変わる状況の中での判断は難しいかもしれないが、児童生徒や保護者が不安な思いをしないために、時間の余裕を持って学校が一人ひとりにきめ細かな対応ができるよう、区が配慮するべきだったと考えるがどうか。

区の回答:夏季休業中の8月17日に緊急事態宣言期間の延長が決定されたことを受けて、教育委員会では感染状況を見極めながら区立小中学校の2学期の始業に向けて、感染予防と学びの保障を両立する方策を充分に検討し、始業6日前の8月26日には保護者向けに通知した。

 

説明:学校を欠席した児童への午後のオンラインによる対応は1時間のところ、15分のところなど学校によって差がある。午前中と同じ時間まではいかないとしても、授業として受けられると思っていた保護者もあり、「期待外れだった。これでは休ませて授業が遅れるのも心配」などの声がある。

文教児童青少年委員会では「コロナ不安で自主休校している子どもたちが、どういう形で学びを続けていきたいのか、保護者も含めた学校と家庭との協議の中で進め方を確認して進めている」とのことだった。

 

質問:2学期が始まったところで、子どもたちや保護者の考えを確認し、今後このような状況が長引いた場合どのように学びの保障をしていくのか早い段階で検討する必要がある。確認はおこなわれているのか。

また新型コロナ感染症に限らず、病気、不登校など学校に行かれない児童生徒への学習をどのようにすすめていくのか。

区の回答:2学期の開始にあたって欠席者に意向を確認し、現在、希望者に対しオンラインでの学習支援や健康観察等を行っている。感染状況の悪化による臨時休業も想定されることから、オンデマンド型の動画による学習や学習アプリによるドリル学習など、オンラインを活用した学習支援を実施できる体制を整え、オンライン授業を全校で試行した。また、長期欠席者には、現在でも適応指導教室やICTを活用した学習支援など多様な教育の機会を確保し、一人ひとりに寄り添った対応を行っている。

 

質問:教員も様々な対応のための業務が増えて、かなり負担が大きくなっていると思われる。学校が負担に思っていることや必要な支援を聞き取り、きめ細かなサポートをしていくべきと考えるがどうか。

区の回答:校長会への意見聴取や指導主事の学校訪問によって現場の声を聞き取り、スクールサポートスタッフの増員や柔軟な教育課程の編成への助言などの支援を行っている。引き続き、負担軽減と教育活動の充実に向けた支援を行う。

 

質問:タブレット端末が重く、電源コードやLTE機器を含めるとさらに重くなる上に、損傷防止のケースに入れ、さらにランドセルに入れるのが大変。特に低学年の児童にとってかなり負担となる。新学期2日目にはタブレットを含めて荷物の重さが9キロになったそうだ。状況を把握し、改善策を求めるが区の対応は。

区の回答:タブレットは、持ち帰りを基本としているが、小学校低学年では身体的な負担を考慮し、学校で保管するなど適切な対応を各小学校に要請している。

 

意見:タブレットの活用については長時間見続けることでの子どもの心身への影響も危惧する。使用時間や利用方法の配慮を求める。

 

説明:子どもの権利条例については、今年3月、東京都に「こども基本条例」が制定された。都では青島都知事時代に子どもの権利条例の制定が方針化され、児童福祉審議会や青少年問題協議会で答申が出されていた。しかしその後、石原都知事に代わり中断し、2000年に10万筆の署名をもって都議会に提出された「子どもの権利条例制定を求める請願」も厚生委員会で審議された結果継続となり、これまで20年動きがなかった。

その間、次々と区、市で条例が制定される中で、子どもへの虐待事例が増えていることや、東京都の長期計画、未来の東京戦略で「子どもの施策を第一に掲げる」ということが打ち出されたのを機に、議会で条例案を作成、修正を重ね、全会派一致で今年ようやく条例制定が実現した。

 

質問:条例ができて終わりではなく、これを自治体でどう活かすかが重要。まずは子ども一人ひとりに権利があることを子どもも大人も理解し、根付かせることが求められている。

条例に掲げた「子どもの参加と意見表明」は重要で、子どもたちが権利の主体であって大人と対等のパートナーであることへの理解が必要と考えるがどうか。

区の回答:区立小中学校において、子どもたち自身が自由に考えて話し合う活動や多様な考えを理解し、認め合うことを重視した指導を行っており、子どもたちが話し合いに参加し、自由に意見を表明する権利は十分に保障されているものと認識している。

子どもに関わる施策や事業を企画、実施するにあたり、子どもたちの意見を反映していくことは重要であると考えている。区ではこどもまつり、子ども議会等に際し、子どもたちが主体的に考え活動できる取り組みを行っているが、こうした活動が、子どもが社会の一員であり、権利の主体であることへの理解につながるものと考えている。

都条例はすべての子どもが将来への希望を持って、健やかに育っていく環境を整備することを基本理念としている。練馬区教育・子育て大綱においても、都条例の基本理念の主旨と同様な共通の目標を掲げており、今後も区の大綱に基づく施策を着実に実施していく考えである。

 

質問:都条例には3年後に見直すことと、その際に「こどもの意見を反映させる」ことが追加された。今後条例を具体的にどう区の施策に展開していくのか、3年後の見直しに向けて区としてどのように子ども若者参加の場をつくっていくのか新教育長の考えは。

区の回答:3年後の都条例の検討については、都において行われるものであり、現段階で区が関与する考えはない。

 

意見:新型コロナ感染症の影響を受け、昨年から学校や家庭での子どもたちの生活も一転し、様々な我慢を強いられ、いまだに平常には戻っていない。「マスク着用や手の消毒への負担、運動不足、行事の縮小、音楽の授業での音出しができない」など子どもたちにストレスがたまっている。

「コロナだから仕方がない、気を付けよう、我慢しよう」を押し付けるのではなく、このような時こそ現状について子どもたちにわかりやすく説明し、できることを一緒に考え、意見を言える環境をと整えることで、子ども自身が社会の一員であると実感できるのではないか。

子どもの最善の利益を基軸に据えて真摯に向き合い、共に生きる練馬をめざして一般質問を終わる。