2022年9月9日 一般質問Q&A 質問者: きみがき圭子

練馬区議会 議会放映 (discussvision.net)

 

  1. 区長の基本姿勢について

質問:区長は「区民の皆さんと力を合わせて」と言う一方で「ご理解をお願いする」という姿勢に大きな疑問を抱く。大きなプロジェクトとする前に、区長自らが地域住民を始めとした区民の声を聞き、時間をかけて合意形成を図ることが必要。区長の考える「区民と力を合わせる」とはどのようなことか。

 

区の回答:議会制民主主義のもとで、何が区民全体の利益かを判断するのは、区民の代表である区議会と区長の責任。それを前提に、政策形成から実行段階まで、区民の参加と協働の区政を実現することが必要と考える。

 

意見:計画案ができ区民に公表する以前に、計画を考えている時点から、必要性について区民と十分な話し合いの場を持ち、区民の参画が必要である。

 

説明:これまで計画案に反対の意見はほとんど反映されることなく、「ご理解いただく」で進められてきた。しかも最近では説明会ではなく、多くがオープンハウスや個別相談会になった。区民と真摯に向き会おうという姿勢が見られない。

 

質問:区長がすすめようとしていることはトップダウン。区民抜きの「お約束した『改革ねりま』」の推進が、全国自治体を先導する理想の自治体行政なのか。また、発展するためだったらトップダウンでスピーディにやることが良いと考えているのか。

 

区の回答:区長は練馬の未来を語る会を開催し、地域に出かけ区民と話し合いを重ねてきた。区長への手紙にも目を通している。区は、各事業を進めるなかで、区民や関係団体から意見・要望を伺っている。計画の検討段階では、区民意識意向調査やアンケート、審議会や懇談会など様々な手法で幅広く意見を聞いている。素案を取りまとめた際には、オープンハウスや説明会、パブリックコメントなどで丁寧に説明、意見を聞き、区議会に諮り、区政を進めている。

 

  1. 個人情報の保護について

説明:2021年5月、国が個人情報保護に関する法律を改正。区は現行「練馬区個人情報保護条例」を廃止、それに代わる「練馬区個人情報保護法施行条例」を新たに制定する予定。区の現行条例は、全国的に見ても厳格な運用基準である。区の個人情報保護の運用基準が大きく後退し、区民の個人情報保護がおろそかになることを懸念する。

さらに重要土地等規制法が施行されると、総理大臣は、住民、「その他関係者」の住民登録、戸籍、国籍、連絡先等の情報提供を求めることができ、首長は提供しなければならない。しかも本人への告知がないため、区民は自分の個人情報がいつ、どのように提供されたか知るすべもなく、「自己情報コントロール権」を大きく侵害されるおそれがある。個人情報保護法にも、自己情報開示請求権や訂正権、利用停止請求権などが保障されているが、「第三者提供をおこなった場合の個人情報保護運営審議会への報告義務や記録義務、当該記録の一般閲覧権などの保障」、「第三者提供したことへの本人への告知制度の保障」はない。

 

質問:今後検討する練馬区個人情報保護法施行条例案に、住民個人情報の第三者提供に関して、個人情報保護運営審議会の関与、さらに本人への告知のしくみ等を盛り込むべきでは。

 

区の回答:個人情報の外部提供について改正法に委任規定がないため審議会への諮問や本人通知を条例に定めることはできない。個人情報の外部提供の記録は、改正法で定める個人情報ファイル簿で管理、公表する。

 

説明:現行条例は、住民の基本的人権の尊重を柱に、思想、信条および宗教に関する事項、社会的差別の原因となる社会的身分に関する事項、犯罪に関する事項を要注意情報として明記している。ところが施行条例の検討過程において「現行条例で規定する『要注意情報』については、その内容が改正法における『要配慮個人情報』に含まれていることから、規定する必要はない」としている。

 

質問:現行条例には、練馬区の地域の歴史、沿革をふまえ、『要注意情報』を謳ってきた経過がある。新施行条例案に、練馬区の地域の特性をふまえた『要注意情報』の規定を盛り込むべきでは。

 

区の回答:「要注意情報」は思想、信条、宗教、社会的身分、犯罪に関する事項を規定。改正法・政令では「要配慮個人情報」を人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、障害、検診結果等が規定され含まれている。練馬区特有の事情により、特に配慮を要する情報がないので「条例要配慮個人情報」の規定は設けない。

 

  1. 女性支援について

説明:国は「新型コロナウイルス感染症の拡大は、各国の弱いところを露わにしたが、我が国においては男女共同参画の遅れが露呈することになった」と分析。雇用情勢の悪化が非正規雇用の割合が高い女性に、より大きな影響を及ぼし、特にひとり親世帯、女性の貧困等がコロナ下で可視化された。生活面では、DVの相談件数が急激に増加した。

「これまでの配偶者からの暴力の被害経験」については、女性の約4人に1人に被害経験があり,さらに、約10人に1人は何度も暴力を受けている。婚姻経験者の女性約21人に1人が命の危険を感じたことがある。子どものいる被害女性の約3割が、子どもへの被害経験も認識している。家庭内でDVと児童虐待が同時におこなわれているケースは少なくなく、子どもの心身への影響や暴力の連鎖など、深刻な問題である。しかし、4割の女性はどこにも、誰にも相談していないという実態だ。

 

質問:練馬区配偶者暴力相談支援センターの年度別相談件数は、2019年度2,865件で前年度から176件増加したが、2020年度2,451件、2021年度2,532件と減少。男女共同参画センターのDV専用ダイヤル2017年度から5年間の推移では、2020年度の249件が突出しているとも言えるが、2021年度は2019年度よりも減少している。DV相談件数の推移をどう捉えているか。

 

区の回答:相談実人数は、2019年度1,014人、2020年度1,196人、2021年度1,080人とほぼ同水準で推移。コロナ禍でも適切に相談へ繋がっている。

 

質問:コロナ禍での配偶者からの暴力の防止と被害者への支援について、男女共同参画推進懇談会での検討状況などを聞く。

 

区の回答:懇談会に、第5次練馬区男女共同参画計画の進捗状況を毎年報告している。委員からは、DV被害者対応についての質問やコロナ禍でも緊急一時保護施設への入所が適切に行われていることを評価する意見などをいただいた。今後も懇談会での意見を踏まえ、関係機関と連携し被害者支援に取り組んでいく。

 

質問:DV専用ダイヤルはカード状にして公共施設のトイレなどに設置して周知しているが、より多くの方に情報が届くように駅やスーパーなど、設置場所をさらに広げるべき。現状と今後の取り組みを伺う。

 

区の回答:携帯用DV啓発カードは、区役所や総合福祉事務所などの公共施設、区内医療機関や学校、警察等の関係機関で広く配布している。引き続き相談窓口の周知に努める。

 

説明: 2020年自殺動向で、7月以後は様々な年齢階級の女性自殺者が増加傾向にあり、特に「同居人がいる女性」と「無職の女性」の増加が目立つ。女性の自殺の背景には、経済生活問題や勤務問題、DV被害や育児の悩み、介護疲れや精神疾患など、様々な問題が潜んでいるとされ、コロナ禍において自殺の要因になりかねない問題が深刻化したことが、女性の自殺者数の増加に影響を与えている可能性があると分析されている。

 

質問:自殺者の男女比は全国では7対3だが、練馬区では6対4と女性の自殺が多いこと、原因・動機では、「健康問題」の次に「家庭問題」「男女問題」であることが練馬区自殺対策推進会議で報告された。悩みごとの解決への糸口として、誰かとつながり、はきだすことは重要であり、相談窓口に至る垣根をできるだけ低くして人とつながる場面をつくることが求められている。若い人には電話相談は敷居が高いと、LINEやチャットによる相談事業を始める自治体が広がりつつある。区も女性相談の支援強化のため、LINE・チャットなどさらに相談しやすいしくみを検討すべきでは。

 

区の回答:カウンセリング等の具体的な相談へのきっかけづくりとして有効と認識している。国や都ではLINEやチャットを活用した相談を広域的に受けている。区の配偶者暴力相談支援センターでは、これらの機関から相談を引き継ぎ、連携して被害者一人ひとりに寄り添った支援をしている。他自治体の支援状況や各種相談ツールの導入効果など研究を進める。

 

  1. 高齢者福祉および介護保険制度について

説明:2025年には国民の3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上という「超・超高齢社会」となる。さらに、2040年には高齢者人口のピークを迎えると推計。介護人材については、2025年に約32万人、2040年に約69万人が不足すると推計されている。

介護職の賃金は全産業平均より8万円も低く、利用者の生活や生き方を大事にした質の良いケアをしている介護職員のモチベーションを保つのは難しい状況だ。報酬アップのための処遇改善加算は、改正を重ね「パッチワーク加算」とも言われ、事務作業に専念できる職員が確保できる大手事業者には有利だが、小規模な事業者は申請を断念している。

介護保険制度開始から20年以上が経過し、財源不足だけでなく人材不足により介護保険制度の維持が困難になることが危惧されている。

既に、人材の確保・定着に苦慮する介護事業者が事業所閉鎖など地域の在宅介護を支える現場から撤退する事態が生じている。

 

質問:高齢者福祉の研究者から、認知症や重度要介護者など一部の困難事例の介護の公営化、訪問介護に高齢者の体調に応じて柔軟なサービスの提供ができる可能性を持つ、身体介護と生活援助の「複合型」の復活など、在宅介護を支える小規模な介護事業者の経営の安定を目指す提案がされている。介護が必要な当事者および家族の生活を支える介護保険制度の保険者として、住民の暮らしを守る視点で介護保険制度改定に積極的に意見、要望を伝える必要があるのでは。

 

区の回答:保険者として特別区長会を通じ、毎年介護保険制度の充実について国に要望している。区民の生活や介護事業者に影響を及ぼす制度改正には緊急要望を行ってきた。2024年度の改正内容案が具体的に示された段階で、その影響を見極め、対応する。

 

質問:2024年からの介護保険制度改正に向けて練馬区でも議論が始まっている。介護保険運営協議会の中では、どのように評価し何が課題と捉えているのか。

 

区の回答:第9期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向け、介護保険運営協議会で検討している。事業者からは慢性的な介護人材不足に加え、最近では、受験資格の厳格化等によりケアマネジャーの不足が深刻化しているとの指摘があった。被保険者からは、業務内容に見合った報酬が支払われる仕組みになっていないことが問題との意見があった。

 

質問:地域で事業運営する事業者の声なくして住民の生活を支えることは難しい。事業者の実態把握や意見、要望をどのように聞き取るのか。

 

区の回答:今年度実施する高齢者基礎調査で介護サービス事業所の実態把握をし、現状や課題について、事業者団体や施設長会と継続的に話し合う。2020年度からは、コロナ禍での事業所の状況や必要な対策について、毎月、意見交換を実施している。区民に必要不可欠なサービスを提供している現場の意見を伺い、協議会の審議も踏まえ、計画を策定する。

 

  1. 脱プラスチックに向けた取組について

説明:今年4月、プラスチック資源循環促進法が施行された。脱使い捨てプラと資源循環の高度化は、法にも盛り込まれ、2050年のプラごみの海洋流入ゼロや、カーボンニュートラルの達成には不可欠。

環境省は、プラ使用製品をめぐる環境問題の変化に対応して、製品の使用の合理化、廃棄物の市町村による再商品化並びに事業者による自主回収及び再資源化の促進を掲げている。そのためにプラ製品の製造、販売、排出すべての段階で大量の生産、消費、排出をやめて新たな廃棄物を生み出さないサーキュラーエコノミーの実現求められている。

自治体の役割としての課題は、容器包装プラと製品プラの一括回収、機械選別のルートを確立すること。ところが23区では収集、処理方法がバラバラで、踏み出せていない。

今年5月に公募した環境省の「プラスチックの資源循環に関する先進的モデル形成支援事業」に、江戸川区の「プラスチック資源の分別収集・リサイクル自治体回収導入に向けた実証実験」が選ばれた。プラの一括回収事業を2023年度に開始予定で、今年度は組成分析調査とアンケートを実施し、効率的な回収体制・方法を検証する。

 

質問:法に基づいたリサイクル事業をすすめるためには区と区民、事業者の協働が必要。国からの財政支援も必要だが、国の指示を待つだけでなく、新法について区民が理解できるような取り組みや、区民の意見を聞き取るなど、今できることをすすめるべきでは。

 

区の回答:家庭から排出されるプラの分別回収・再商品化に努めるよう求められている。区の役割を果たすためには、回収したプラを再商品化施設に持ち込むための圧縮・梱包を行う中間処理施設が必要。また、大量のプラを再商品化するための事業者の処理能力向上と市場ニーズに応じた多様な商品を生み出すための技術開発が求められている。特別区長会を通じて、国にリサイクルルートの基盤整備、財政支援等を要望している。

プラのリサイクルを円滑に進めるためには区民の協力が不可欠。ホームページや講演会の開催などで、プラごみが環境に与える影響等について周知。プラ一括回収の実施に当たっては、説明会を開催するなど、区民の意見を聞きながら取り組みを進める。

 

質問:区にはリサイクルや海洋プラスチックに関わる有識者や区と連携している活動団体の方が委員の循環型社会推進会議がある。拡大生産者責任や一括回収について、区としてどう進めていくのか会議で検討するべきではないか。

 

区の回答:プラスチック資源循環促進法では、事業者に対するプラ製品全般の自主回収・再資源化計画の策定など、より踏み込んだ取り組みを求めている。特別区長会を通じて、国に「拡大生産者責任の原則に基づく事業者責任の明確化」について要望している。

 

意見:拡大生産者責任は区の費用負担を減らすだけでなく、使用済み製品を原料として繰り返し使える製品設計にし、ごみを出さないサーキュラーエコノミーの肝となる仕組み。

リサイクルに早くから取り組み、プラスチック削減指針を策定した練馬区こそ、区の主導で効率よく資源循環させることができる、国の「再商品化計画の認定」を受け、23区の先頭を切ってすすめていくことを要望する。

 

  1. エネルギー政策について

質問:区長は2050年の二酸化炭素実質排出ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を表明。今年度中に、脱炭素社会の実現に向けた計画を策定する予定。具体的には環境基本計画を見直すとのことだが、進捗状況を伺う。

 

区の回答:環境基本計画、エネルギービジョン、環境管理実行計画を統合した総合的な計画の策定に着手。環境審議会やエネルギー分野有識者会議を開催し、学識経験者、エネルギー事業者、事業者団体、区民から意見を聞き、年度内に素案を取りまとめる予定。

 

質問:本庁舎を始めとした公共施設の電力調達の状況を伺う。

 

区の回答:区立施設の高圧電力は、電力調達に係る環境配慮方針に基づき、温室効果ガス排出係数や再生可能エネルギーの導入状況などを考慮した上で、安定供給能力のある事業者による入札で調達している。2021年度は140施設の電力について入札を行ったが、国際的にエネルギー価格の高騰の影響を受け、60施設分が入札不成立となり、電力のセイフティネットである最終保障供給契約を利用せざるを得ない状況となった。

また、都区がこの3か月で実施した電力入札はすべて不調・不成立となり、エネルギー需給の見通しは依然として不透明だ。こうした状況を受け、電力の安定供給を確保するため、今年度の本庁舎の特別高圧電力の入札は見送る。

 

説明:ゼロカーボンに向けて重要な鍵を握っているのがエネルギー。区はエネルギーのベストミックスと省エネルギーを両輪とした自立分散型エネルギー社会を掲げているが、その中に原子力発電も含まれている。首相は電力のひっ迫を理由に来年以降7基の原発を再稼働することを表明した。しかしテロ対策や避難計画が十分ではないことを指摘されている。さらに地震や火山の噴火など自然災害の心配がある日本で100%安全な原発はあり得ない。

 

質問:電気不足で困るから不足分を原発再稼働で、という考えは現実的ではない。また、原発は低炭素でクリーンなエネルギーと言うが、ひとたび事故が起きれば人も自然も破壊する。区は持続可能で低炭素、そして安全なエネルギー政策を検討すべき。

住宅の多い練馬の特性を考え、地域や団地でまとめて太陽光パネルと蓄電池を設置するモデル地区をつくり、エネルギー自立都市の実証をするなど、大胆な発想が必要だが、区の考えは。

 

区の回答:エネルギービジョンに基づき、区民や事業者と太陽光発電やコジェネレーションなど自律分散型エネルギーの導入を進めている。本年4月からは、住宅都市練馬区の特性にふさわしい省エネ推進事業として、住宅の窓の断熱回収助成を拡充し、事業者向けには、換気によるエネルギーロスを低減する高機能な換気設備設置への補助を開始した。

 

説明:全国で気候危機の市民会議を開く自治体が増えている。無作為抽出で大人から子どもまで参加して自治体の取り組みについて意見を出し合う。札幌市の報告シンポジウムに参加したが「気候危機の現状を初めて知った」という方もいて、まず知ることからという意味でも有効である。

 

質問:待ったなしの地球温暖化をどうストップさせるのか、そのために自治体としてどう取り組むのか、区民と共に課題を共有し、区としてできること、すべき目標をつくることが必要、区の考えは。

 

区の回答:策定中の脱炭素社会実現に向けた新しい計画では、これまでの取り組みを基本に様々な主体と協働し、着実に脱炭素を進める取り組みを検討する。計画の内容や目標については、集計中の区民意識意向調査の結果を参考に、環境審議会やエネルギー分野有識者会議の意見を伺いながら素案をまとめる予定。

 

意見:東京電力福島第一原発の事故から11年。事故の処理費用は損害賠償も含めて約21兆円とされている。何よりも人の命と生活が奪われたことを忘れてはならない。電力大消費地である東京こそ、原発のないエネルギー政策に取り組むべき。

 

  1. 子どもからのSOSを受け止める相談体制について

説明:子どもが抱えている困難や悩みを直接相談できる区の窓口は子ども家庭支援センターがある。区内4か所の学校教育支援センターでの電話教育相談、訪問教育相談があり、緊急対応は15回。また今年度からタブレットによる相談「子ども相談メール」が始まり、学校での周知やカードの配布がおこなわれ、4月からの相談件数は150件。緊急対応が必要な相談については関係機関と連携して支援するとしている。

様々な相談窓口があっても区や学校関係のところだと相談しづらい、家族に知られたくない、夜家に帰りたくないけれど夜は時間外で相談できない、などの課題がある。特に家族や教員からの暴力・性虐待などが増えていることが社会問題となっているが、声を上げられない子どもの心の傷は深く、一生を左右してしまうケースもある。

 

質問:これまでも子どもの相談窓口について改善を求めてきたが、相変わらず区ホームページではトップページから子どもの相談先への案内がわかりにくく、たどり着いたところには、練馬子ども家庭支援センターと教育相談室の電話番号が淡々と書かれているのみ。区は子どもの相談窓口のわかりやすさ、相談しやすいページ作成について、子どもの視点で考えているか。

 

区の回答:相談窓口の周知は、児童生徒ひとりひとりに直接行うことが重要。相談先は、全児童生徒に毎年配布する「子ども相談カード」や「青少年育成活動方針」、各学期の初め、長期休業前、夏休み明け直後に配布する国や都、NPO法人などを含む様々な相談窓口を記載した「リーフレット」などにより伝えている。

さらに、全児童生徒に配布したタブレットには、誰にも知られずに相談できる「子ども相談メール」や相談先が一覧になっている「TOKYOほっとメッセージチャンネル」を登録する等、子どもたちが身近にアクセスしやすいコンテンツを用意して対応している。

悩みの内容に応じて、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、教員や児童館職員など専門性を有するスタッフが子どもたちの話を丁寧に聞き取り、悩みを受け止めながら、子どもの最善の利益となるよう相談に応じている。子ども家庭支援センターでは、重篤なケースや緊急性の高いケースについて夜間、日曜・祝休日に児童相談所や警察など関係機関と連携して適切に対応していく。

 

説明:世田谷区のホームページには「世田谷ホッとこどもサポート」「せたがや子どもテレフォン」というツールがある。せたホットは世田谷区子どもの権利条例に基づいて設置された機関で、子どもの人権擁護委員が相談員となっている。

「子どもの権利をまもるところであること、子どもは一人ひとりがまもられて大切にされる存在であること」など、子どもには守られる権利があることを、子どもに話しかけるように記載されている。特に新学期が始まって、子どもの心が不安定になる時期でもあり、子どもの不安や悩みをしっかり受け止める体制が必要。

 

質問:区は「子どもの権利の視点は各施策の中に盛り込まれているから子どもの権利条例は必要ない」と言うが、重要な相談体制を見ても子どもの立場に立ったものとは思えない。ホームページをはじめ、あらゆるツールを子どもたちにわかりやすく、相談しやすい窓口へと見直し、改善すべきだが、区の考えは。

 

区の回答:今後も相談体制の充実とより効果的な周知に取り組んでいく。

 

  1. 英語スピーキングテストについて

説明:来年1月におこなわれる2023年度都立高校入学者選抜に英語のスピーキングテスト「ESAT-J」が導入され、実施は今年11月27日。運営主体は東京都、実施は民間事業者。都内全公立中学校3年生約8万人を対象とし、都立高校の受験を希望しない生徒も対象。

このテストの問題点についてこれまでも指摘してきたが、区は「スピーキングは英語4技能のひとつとして大切」との答えで、何が問題なのか把握しようとしていない。

受験制度を利用して約8万人の生徒の住所や電話番号、生年月日、顔写真などの個人情報が民間事業者に渡ること自体問題。このテストは、受験しなかった生徒と受験した生徒の得点が逆転してしまうケースも起こりうる採点方法で、1点差で合否を分ける入試の制度として成り立たない。公平性に欠けるテストをわざわざ入試に導入する必要があるのか。

 

質問:先月、受験生の保護者から都教育委員会に対して公開質問をしたが、明確な答えを示していない。生徒や保護者への丁寧な説明もなく、他自治体ではよくわからないまま申し込みを促されている、という事例も聞いた。都から区の教育委員会に説明があったとのことだが、どこまで具体的な説明を受けたのか。また、それに対して何も疑問を持っていないのか。

 

区の回答:配慮が必要な生徒に対応するために、回答時間の延長や別室受験、点字版や拡大版の問題冊子の提供、漢字にルビをふる等の特別措置を行う。また、コロナ感染等のやむを得ない事情によりテストを受けられない生徒に対しても、2月の入試得点を踏まえ、当該生徒が不利にならないように取り扱うこととするなど、具体的な説明を受けた。

 

質問:ESAT-Jに反対の声を上げる保護者や教育関係者、区民が増え続け、中止を求めるアピール署名もこれまで9回提出された。一番の被害者となるのは生徒たち。全ての子どもの学ぶ権利が保障されるべき公立学校の受験において、公平公正さを欠くスピーキングテストの導入は反対。都に中止を求めるべきだが、区の考えは。

 

区の回答:英語の「読む」「書く」「聞く」という3技能だけでなく、生徒が身に付けた「話す」力についても適正に評価するために、このテストを入試に導入することは必要。区として英語スピーキングテストの実施について中止を求める考えはない。

 

意見:2年前、大学入試の共通テストに導入予定だった英語の民間試験が申し込み開始後に見送りになった。同じことの繰り返しで生徒を振り回すことの無責任さを教育現場の立場でしっかり考えるべき。

 

最後に:安倍晋三元首相の国葬に対し、全国で反対の声が次々とあがっている。弁護士をはじめ多くの有識者からも国葬に対する問題点が指摘されている。

安倍元首相と大勢の被害者を生んだ旧統一教会との関係が明るみになった。さらに安倍政権において十分な議論なくおこなわれた数々の強行採決は民主主義の冒涜である。

岸田首相は「弔意を強制するものではない」と言っているが、国民への問いかけも、国会での議論もなく、首相の独断と内閣の閣議決定だけで行うことが民主主義に反し、独裁であることを区は考えるべき。

安倍元首相の「国葬」を受け入れることは、民主主義を破壊する行為に加担することであり、断じて許せず、国葬に反対する。

区として半旗の掲揚、黙とうを区の職場や学校に要請しないことを求めて一般質問を終わる。